2019.11.26 13:00

【球界ここだけの話(1810)】名捕手に不可欠「間接視野」を養う巨人・相川コーチの“チラ見トレ”

【球界ここだけの話(1810)】

名捕手に不可欠「間接視野」を養う巨人・相川コーチの“チラ見トレ”

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サンスポ記者の球界ここだけの話
巨人・相川コーチ 

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 「扇の要」と呼ばれる捕手の両眼は忙しい。グラウンドでただ一人、ナインと向き合って守り、あちこちに目配りし、指示を出す。視野の広さが求められるポジションだ。

 11月前半に行われた宮崎秋季キャンプで、相川亮二バッテリーコーチ(43)が若い捕手たちに課していた練習は興味深いものだった。

 打席に立った相川コーチが、捕手が投球を捕る瞬間、バットを持つ指を数本伸ばしたり、前歯をむき出しにしたりと小さな動きを見せる。捕手はコーチの動きを見逃さないようにしつつ、ボールをミットに収める、という一風変わった練習だ。相川コーチが持ち込んだ特訓だ。

 「打者の表情や動きは、どんな球を狙っているかのヒントになることがよくある。僕の現役時代にもそういうことはかなりありましたから」

 投球の強度にもよるが、コーチの反応に注目しすぎるあまり、捕球し損ねる場面も。鍛えているのは「間接視野」。「周辺視野」ともいい、特定のものに焦点を絞らず、視界全体を捉える見方のことで、つまり視野の広さだ。

 「昔は心の眼と書いて“心眼”と呼んでいました。『ボールを見ずにボールを捕れ、打者の動きを見ろ』とコーチから言われて、いつもやらされましたね」

 横浜(現DeNA)、ヤクルト、巨人で計23年、1507試合に出場した相川コーチも、高卒で入団当初は1年間、毎日のようにこの練習を続けさせられたという。

 バットを握る手元の動き、驚く表情-。目の前をボールが通過した瞬間、打者がわずかに示す反応に、どんな球に狙いを絞っているのかが表れることがある。打者に狙い球を絞らせない役割も担う捕手は、高い洞察力で相手の“心”を見抜かなくてはならない。

 特訓を受けた大城は「難しい練習ですけど、視野が広がりそうだと感じます」と手応えを語り、来季6年目の田中貴も「捕手にとって、すごく必要なスキルだと思います。いろんなところに目配りしないといけないので」と意欲的に取り組んだ。名捕手に成長するには「チラ見」もうまくなければならい。(谷川直之)