2019.10.24 13:42

【球界ここだけの話(1778)】巨人一筋8年 現役引退を決断したマシソンと“家族”の存在

【球界ここだけの話(1778)】

巨人一筋8年 現役引退を決断したマシソンと“家族”の存在

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サンスポ記者の球界ここだけの話
巨人・マシソン

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 また一人、巨人を支えてきた男がユニホームを脱いだ。スコット・マシソン投手(35)だ。前夜、ソフトバンクに敗れて“終戦”が決まったあと、自身の口から決断を報告した。

 「チームカナダの一員としてはこれからも野球は続けていきますが、プロ野球生活はこの日をもって終えたいと思います」

 功績は輝かしい。2013、16年には最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。12年からの8年間で421試合に登板し、27勝29敗、174ホールド、54セーブ、防御率2・46。救援陣の柱として、長年貢献し続けてきた。

 決断の最大の理由は「自分が描いたピッチングが、以前と比べてできなくなった」こと。昨年8月には左膝のクリーニング手術を受けるなど、満身創痍(そうい)でマウンドに上がっていた。 そして、もう一つ。引退の理由を聞いた際にマシソンが答えたのが家族の存在だ。

 「子供たちが大きくなっていく上で、彼らとの時間を優先することも重ねて決めました」

 マシソンには7歳になる長男と、4歳の長女がいる。シーズン序盤には来日し、近くで自身を支えてくれたかけがえのない存在だ。子供たちの成長をそばで見たい-。長年、巨人のために腕を振り、背中で父親としての姿を見せてきたマシソンの正直な思いだったのだろう。

 日本でも、家族との時間を堪能した。休日には、家族でのお出かけが定番。ある日は、長男が「忍者とか侍が好き」と言ったこともあり、自動車で日光江戸村に出向いた。ハンドルを握ったのはマシソン。「日本での運転はもう慣れているよ」と片道2時間の道のりも苦にしない。むしろ「気分転換になるよ」と熟練ドライバー並み。どこまでも家族思いで、心優しきパパだ。

 そんなマシソンには、家族同然の存在がいる。そう巨人のチームメートだ。「一つのチームでプレーし続けるというのはなかなか恵まれたことだと思う。自分としてはアメリカで1チーム(フィリーズ)、日本で1チーム。一つのユニホームを着てやれたというのは、とても誇りに思う」と現役生活を振り返ったマシソン。紳士で、心優しい。野球に対してもひたむき。その姿勢は仲間も認めている。

 エース・菅野はこう語る。「日本人よりも日本の心を持っているというか。すごい気を遣いますし、周りをよく見ているなというシーンもたくさんこの何年間かでありました。最高のチームメートだったなと思います」。気を遣うということで言えば、私自身もマシソンの優しさを感じたことが何度もある。

 大汗をかいた練習後でも、打たれた日のあとでも、必ず真摯(しんし)な態度で取材を受けてくれた。そして、通訳の方がいないときでも、マシソンなりの気遣いを見せてくれる。英語が堪能ではない記者に、単語を並べて、わかりやすい英語で話してくれるのだ。こちらも拙い英語で応えると、しっかりと耳を傾けて聞いてくれる。だからこそ、米国での生活のことや気候などについても、話すことができた。

 改めて「現役引退」と聞くと、寂しくなる。だからこそ、最後までマシソンの思いを伝えていきたい。(赤尾裕希)