2019.9.22 13:00

【球界ここだけの話(1747)】阪神・伊藤和のヘルニア発症から復活までの軌跡

【球界ここだけの話(1747)】

阪神・伊藤和のヘルニア発症から復活までの軌跡

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サンスポ記者の球界ここだけの話
阪神・伊藤和

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 夏の終わりに一人の男が長いリハビリ生活を終え、復活のマウンドに上がった。9月12日の四国IL徳島との練習試合(鳴尾浜)の七回に伊藤和雄投手(29)が復帰登板。2月23日のヤクルトとのオープン戦(浦添)以来、実に211日ぶりに実戦のマウンドに上がり、きっちり三者凡退に抑えた。

 「無事に投げることができてよかった」

 試合後にほっとした表情で振り返った右腕の復活までの道のりは、決して平坦(へいたん)なものではなかった。

 昨季は矢野2軍監督のもとでクローザーを務め、ウエスタン・リーグの優勝とファーム日本一に貢献。自身も20セーブを挙げてセーブ王に輝くなど、2軍で結果を残した。今年の2月には沖縄・宜野座での1軍キャンプに参加し、ブルペン陣の一角としての活躍を期待されていたが、異変はキャンプ終盤に起こった。腰に違和感を覚え、別メニュー調整。その後、腰椎椎間板ヘルニアを発症したことが分かり、4月に椎間板摘出術に踏み切った。

 退院後はリハビリに励む日々。日常生活では「ずっと同じ姿勢でいることが一番大変だった」と、車で長時間ドライブするときはこまめに休憩をとらないと疲れてしまうことも。寝るときも寝返りや動きやすいように固く、反発力のあるマットレスを使うなど、常に体を気にかけて過ごしてきた。

 約7カ月におよんだリハビリ生活。けがの再発防止のため、体幹トレーニングの量を以前より増やした。練習が始まる前に体幹を鍛えるのを習慣にして自分の体と向き合った。当初は8月には実戦復帰できる見通しだったが、月1回の通院で患部付近に水がたまったり、肉離れを起こしていたことが分かり、遅くなった。

 リハビリ中、何よりの原動力となったのが昨年、ともに2軍でリリーフとして切磋琢磨してきた守屋と島本の存在だ。矢野チルドレンの2人は今季、ともに50試合以上登板するなど1軍の舞台で活躍している。「去年一緒にやってきたシマ(島本)や守屋が1軍で投げている姿をテレビとかで見て、自分も上で投げたいとずっと思っていた」とライバル心が突き動かし続けた。

 そして9月、待ち続けてきた実戦のマウンドに立ち、完全復活への第一歩を踏み出した。1イニング11球を投げ、最速は140キロ。ほとんどが直球で、変化球は数球しか投じていなかったが、登板後も「(経過は)順調です」と笑顔を見せた。今後は徐々にイニングを伸ばすなどステップを踏んでいく予定。来季こそ1軍で花を咲かせるため、今はしっかりと地に根を張って着実に力をつけていく。(織原祥平)