2019.9.11 12:00

【G戦士の素顔(15)】戸根、1軍復帰への胸中は…昨季と違う新たな心境

【G戦士の素顔(15)】

戸根、1軍復帰への胸中は…昨季と違う新たな心境

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川崎市のジャイアンツ球場で練習する戸根

川崎市のジャイアンツ球場で練習する戸根【拡大】

 必ず、また1軍のマウンドに戻ってみせる。5年目の戸根千明投手(26)はそう心に誓っている。左肘内側の痛みのため8月16日に出場選手登録を抹消され、現在はファームで調整中。酷暑の中、日焼けした姿で汗を流す左腕の胸の内に迫った。

 「歯がゆいよ。今年はけがをしないで一年間やり続けようというのが一番のテーマで、それが全然駄目だった。結果的に5月ぐらいに脇腹痛めて、苦しい思いをしたし。また復帰して、ちょっとしたら肘をけがしてしまった。万全を期していたのに、なんでこんなにけがするのはどうしてなんだろうと考えたこともあったし」

 並々ならぬ覚悟で臨んだ2019年だった。昨季は、シーズン途中に左肘痛を発症。初めて1軍登板なしに終わり、出口が見えない長いトンネルにいるかのような辛い日々を過ごした。そんな経験があったからこそ、オフシーズンは新たな取り組みにも挑戦した。

 主眼を置いたのは、可動域を広げること。母校・日大の相撲部出身で、元十両・大翔湖(だいしょううみ)の森友樹さん(35)さんのもとを訪れ、四股踏みを行った。1セット50回の四股踏みを3、4セット繰り返し「四股だけで1時間ぐらい踏んだりした」というほど股関節の柔軟性を高めた。他にもプールで長めの距離をクロールで泳ぐなど、水泳もトレーニングに取り入れ、肩甲骨の可動域を広げた。

 その成果は、しっかりと野球の結果として表れた。春季キャンプでは沖縄から1軍に帯同し、そのまま開幕1軍の座をつかんだ。今季は26試合に登板し、0勝1敗、8ホールドで防御率1・99と安定した成績。原監督が復帰し、自身も新たなスタートを切った。はずだったが…。

 5月下旬に右脇腹痛を発症。約2カ月後に復帰したが、今度は左肘の内側に痛みを覚え、戦線を離脱した。今季はいい結果を残していたからこそ「余計悔しさがにじんだ」という。

 「やっぱり(原)監督の言うように職場放棄じゃないけど、歯がゆい。ファームの練習が終わって帰って、1軍のナイターを見て思う。『ここ、自分がいたら自分がいってたんだろうな』という場面とか。そういうの見るとどうしても苦しくなる。やっぱりもう一度あそこで、上(1軍)で貢献したい」

 だが、決して全てに悲観的になっているわけではない。昨季の経験が生きている部分もある。それはメンタル面だ。昨季は左肘の状態がなかなか上がらず、一進一退の毎日。前に進まない日々を過ごしたからこそ、動じない心が養えたという。

 「去年なら『なんでこんなに投げられないんだ。ちゃんと投げられるようになるんか』とかそういうマイナスな思考が多かったけど、今は『やるべきことをやって、一歩一歩前に進んでいくしかない』という気持ちになっている。去年があるからこそ、そういう気持ちになれたんだと思うし、けがをしても戻って投げられた喜びを知っているいるわけだから。全然プラスに捉えられるよね」

 さらに、守るべき存在ができたことも復帰への後押しとなっている。現在は、2歳下の夫人とともに暮らしている戸根。さまざまな面でサポートしてくれる愛妻には感謝が尽きない。

 「支えてくれているからね。やっぱりその妻の気持ちもね。自分がけがで苦しんでて妻も苦しそうで、元気なかったし。その中でも自分を励ましてくれて、元気づけてくれた。そういったところもとても感謝している。よく話を聞いてくれるし、自分の意見も言ってくれる。気づかされることも多かったかな。『私はこう思うけど?』っていうところも多かった」

 自分は一人じゃない。今は、夫人が一番そばで支えながら「今年もう一度、あなたが1軍で投げているところを今年見たい」と応援してくれている。だからこそ、リハビリも頑張ることができる。シーズンは佳境に入った。復帰はポストシーズンになるかもしれない。だが、必ずや再び1軍に戻ると胸に決め、歩むしかない。(赤尾裕希)

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