2019.9.2 03:00

【記者の目】非情に徹することが出来ず苦悩した掛布氏

【記者の目】

非情に徹することが出来ず苦悩した掛布氏

GM付DC時代の2015年春季キャンプで鳥谷(左)を指導する掛布氏。2人のレジェンドが去る

GM付DC時代の2015年春季キャンプで鳥谷(左)を指導する掛布氏。2人のレジェンドが去る【拡大】

 褒めて、育てる-。

 掛布氏は25年ぶりに阪神に復帰したGM付DC時代から一貫してこの方針で指導。通算349本塁打のミスタータイガースが今の時代に合わせ、自ら目線を下げていた。

 ただ、選手たちにとっては居心地が良く“ファーム慣れ”が目立った。金本前監督時代は方針の違いから2軍監督を2年で退任。現役時代の実績と指導力が異なることを痛感させられた。

 一方で「ファンの目が選手を育てる」という合言葉は今の矢野阪神にも継承されている。ファンに直筆サイン入りカードを配布。甲子園でのウエスタンの試合で観衆1万2631人の球団新記録を樹立した。草の根の精神を思い出させ、フロントに対し、2軍にもビジネスチャンスがあるということを示した。

 今のSEAになってからはグラウンドで指導することもあったが、大学の講演会への出席や甲子園貴賓室でのスポンサーへの接待役が多かった。

 古巣に復帰した掛布氏は常に優しかった。左半月板手術などを経験した現役時代、マスコミやファンと戦ってしまった自戒の念があったはずだ。非情に徹することができなかった。スターの苦悩を感じた6年間だった。 (前阪神担当キャップ、現運動部次長、阿部祐亮)