2019.7.17 12:00

【G戦士の素顔(10)】支配下登録つかんだ加藤、野球を諦めかけた“空白の1年”

【G戦士の素顔(10)】

支配下登録つかんだ加藤、野球を諦めかけた“空白の1年”

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G戦士の素顔
巨人・加藤侑平

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 ついに2桁の背番号を手にした。3年目の加藤脩平外野手(20)が6月9日に支配下選手として契約された。同13日の西武戦(メットライフ)の七回に阿部の代走としてプロ初出場を果たすと、プロ初得点も記録。同24日に出場選手登録を外れてからは再び昇格する日を待ち、ファームで汗を流している。

 「打球の強さも、試合の雰囲気もファームと全然違ったので。ベンチにいるだけでも伝わってくる。ファームだと外野に応援がないんですけど、1軍だとすごい声援で声とかも全然通らないので。そこは違うなと感じました」

 高卒3年目でやっとつかんだ支配下登録。中学時代の加藤には、ここまでのサクセスストーリーは想像できなかったかもしれない。

 中学1年の3月。2年生になる直前の時期に、もともと痛めていた右膝の手術を受けた。成長期でもあり、運動のしすぎで軟骨に穴が空いたため、同部を修復するという手術。全身麻酔にかけられ、約3時間の手術が終わると、右膝は曲げられない状態だった。

 「そのときは麻酔が効いていたので痛くなかったんですけど、麻酔が切れてからはめっちゃ痛かった。とりあえず曲げられないので、ずっと伸ばしっぱなしでした」

 術後は松葉づえで生活する日々。歩行が可能になったのは2年生の8月頃で、野球をできるようになったのは、手術を受けてから約1年がたった3年生になる直前だった。野球どころか、私生活でも今まで通りに動いたりはできない。加藤は当時をこう振り返る。

 「挫折というか、野球を諦めようかなと思ったときでしたね」

 だが、中学時代の監督にかけられた「ちゃんと治してから戻って来い」という言葉に奮起。再びグラウンドに戻ることを決意し、リハビリに励んだ。並行して取り組んだのが「けがをしている時にしかできないこと」だ。

 中学入学時は身長150センチほどで、決して体格がいい方ではなかった。だからこそ、野球ができない期間に体を大きくし、パワーアップした形で復帰できるよう決意。食事の際に食べるのは茶碗1杯程度だったが、茶碗3杯をノルマとし、野菜などもバランスよく食べるように意識。その結果、3年時には身長が172センチにまでなった。

 「1年間野球もできていなかったですし。土台を作ろうとしてやっていたら、3年生になったら体つきも変わりました」

 ピンチはチャンス-。野球を断念しようとしたが、思いとどまり、自ら成長につなげた加藤。“空白の1年”に築いた土台や、精神的成長があったからこそ支配下登録への道が開けたのだろう。(赤尾裕希)

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