2019.5.21 10:00(1/3ページ)

【虎HISTORY】唯一の涙声実況…掛布さん引退試合の最終打席

【虎HISTORY】

唯一の涙声実況…掛布さん引退試合の最終打席

特集:
移籍・退団・引退
昨年9月24日の赤木氏(左)の最後のテレビ実況中継。解説が安藤統男氏(右)、ゲスト解説が掛布氏(中)だった(本人提供写真)

昨年9月24日の赤木氏(左)の最後のテレビ実況中継。解説が安藤統男氏(右)、ゲスト解説が掛布氏(中)だった(本人提供写真)【拡大】

 1983年以来、タイガース戦を中継してきた毎日放送の名物アナウンサー・赤木誠氏(60)が「火曜ワイドスペシャル」に登場。「虎HISTORY」と題してタテジマのあの名選手との触れ合い、あの名場面を振り返る。1回目はミスタータイガース掛布雅之との思い出をつづる。

 初めて阪神戦の実況をしたのが入社3年目の1983年10月。以来、数え切れないほどタイガース戦を中継してきましたが、ウルッときたというか、涙声になったのはたったの1度だけ。88年10月10日。掛布さんの現役最後の試合、最終打席です。

 「栄光の背番号31、通算1625試合出場、349本塁打、1656安打…」

 そんな数字を叫びながら、ミスタータイガースのラストに、こみ上げるものを抑えられなかったんでしょうね。本塁打を放った瞬間は何度もしゃべってますが、一番の記憶は? と問われると、やっぱり引退の瞬間になってしまいます。

 相手投手がギブソンという外国人投手。当時ヤクルトの作戦コーチだった安藤統男さんから後に聞いた話ですが、「偉大な選手の引退だからしっかり投げろよ」とアドバイスしたら、逆に緊張してしまい、力が入って1球もストライクが入らないストレートの四球になってしまったとか。安藤さんも苦笑いしてました。

 その後、引退後に番組出演で毎日放送に来られた掛布さんが、この中継をご覧になって、私の涙声実況を耳にする場面があったんです。

 「照れるけど、これ、いいねぇ」

 そんな感想をもらって、すごく嬉しかった記憶があります。

 初めて話したのは、旧広島市民球場のベンチ裏でした。試合前。掛布さんはいつも、なぜかロッカールームには入らず、ひとりポツンと通路で着替えていました。そこで毎日、ストッキングに日付とサインをする光景を目にしていたので、尋ねたんです。「それ、どうするんですか?」と。

 「毎試合やってるんだよ。これ、あげると喜んでくれる方が何人もおられるから」

【続きを読む】

  • 放送終了後に花束を贈られた(本人提供写真)
  • 栄光の背番号31-。掛布氏の現役時代の雄姿
  • 1985年の祝勝会。ビールかけで優勝を喜ぶ掛布氏