2019.5.17 08:00

【小早川毅彦のベースボールカルテ】セの個人タイトル争いがおもしろい

【小早川毅彦のベースボールカルテ】

セの個人タイトル争いがおもしろい

特集:
小早川毅彦のベースボールカルテ
ヤクルト戦の九回、ソロ本塁打を放つ巨人・坂本勇=11日、東京ドーム(撮影・福島範和)

ヤクルト戦の九回、ソロ本塁打を放つ巨人・坂本勇=11日、東京ドーム(撮影・福島範和)【拡大】

 セ・リーグの個人タイトル争いがおもしろい。14日時点で巨人・坂本勇が打撃3部門でリーグ1位。15日に広島・鈴木が打率・347、32打点でいずれもトップに立ち、本塁打は13本で並んだ。坂本勇は開幕からの連続試合出塁こそ36試合でストップしたが、力量からするとセ・リーグ記録更新は驚くことではない。

 開幕から約3週間がたった4月19日、テレビの解説で訪れた甲子園での試合前、「今年は調子いいね」と声を掛けた。この時点で4本塁打、8打点は飛び抜けた数字ではなかったが、打率・390はセ、パ両リーグを通じてトップだった。

 「(好調の要因は)わかりません。ただ、例年出遅れるので、今年はそうならないように必死にやっています」

 それからさらに3週間以上が過ぎても、高いレベルを維持している。広島から移籍した丸の影響もあると思う。オフからオープン戦にかけての主役は、2年連続でリーグMVPに輝いた丸。生え抜きの主将に、いい意味でのライバル心が生まれないはずがない。

 坂本勇がタイトルを争う上での“追い風”は、5番打者不足だ。5番は多くのチームで、外国人選手の定位置だった。打順に関係なく、セで今季も期待通りの成績を残しているのは中日・ビシエドくらい。ヤクルト・バレンティンも好調だったが、けがで離脱中だ。

 代わりに5番を打つ日本選手にとってはチャンスなのだが、チームによっては「えっ」と思うときがある。それほど層が薄い。監督は好調だから使っているのだろうが、数年後に主軸になれるかといえば、首を横に振らざるをえない。クリーンアップといえば、チームの顔。一発の魅力がほしい。名前を聞いても顔を思いだせないような選手では、情けない。

 三冠王は1938年秋の中島治康さん(巨人)から2004年の松中信彦(ダイエー)まで、のべ11人。ほとんどが4番打者だ。坂本勇を、なおさら応援したくなる。2番を打ち続けても、送りバントなど小技を求められる2番ではないから可能性は十分。そうなれば、巨人の5年ぶりのリーグ優勝もついてくると思う。 (サンケイスポーツ専属評論家)