2019.5.7 13:00

【球界ここだけの話(1615)】“令和の怪物”だけじゃない! 大船渡の「背番号10」和田が無安打無得点

【球界ここだけの話(1615)】

“令和の怪物”だけじゃない! 大船渡の「背番号10」和田が無安打無得点

特集:
サンスポ記者の球界ここだけの話
大船渡高・和田吟太投手

大船渡高・和田吟太投手【拡大】

 “怪物”をしのぐ活躍だった。5月6日の春季岩手大会沿岸南地区予選第1代表決定戦。大船渡(岩手)の最速163キロ右腕、佐々木朗希投手(3年)の登場に、会場となった住田運動公園野球場には約2100人の観客、28社50人の報道陣が訪れた。佐々木の登板はなかったが、そんな中で視線を集めたのは背番号10の和田吟太投手(3年)。高田相手に8回参考ながら、ノーヒットノーランを達成した。

 「朗希が投げない中で、チームの勝利だけを考えて投げた。制球よくコースに投げ分けられたし、打たせて取る理想的な投球ができた」

 佐々木の163キロに対し、最速は130キロほどの軟投派は、縦横の変化球を織りまぜ、七回までに3四死球。最終回となった八回は失策の走者を出すも、69球の省エネ投球で最後まで「H」のランプを灯さなかった。起用した国保陽平監督(32)も「よく投げてくれた。意図通りに打ち取れた」と目を細めた。

 和田は佐々木と同じ大船渡一中出身。中3時には故障の佐々木に代わり背番号1を背負った。当時から安定感のある投球で、Kボール選抜「オール気仙」でも、和田がエースで主に先発で、佐々木は主に一塁と抑え投手だった。

 和田と佐々木、チームメートの多くは、地元の公立校から甲子園を目指し大船渡に進学。今夏が最後のチャンスだ。

 甲子園出場を目指すチームにとって、和田の“台頭”はこの上なく大きい。夏の岩手大会は6~7試合を勝ち抜かなければならない。和田本人も自らの成長が甲子園へ近づくことに「自覚はある。チームが勝つために、必要なことをしっかりやりたい。この代で甲子園に行きたい」と表情を引き締め、「背番号1を取りにいきたい」と自らを奮い立たせた。

 チームには和田だけでなく、今大会初戦となった3日の住田戦で佐々木の後を受けた右横手の柴田貴広投手(3年)や、右腕の大和田健人投手(3年)らも控える。

 「朗希が0点に抑えると自分も(無失点)というのは常にある。1人には任せられない」と決意をにじませるのは柴田。投手陣の頑張りに、この日右翼で出場した佐々木は「和田はすごく頼もしかった。投手陣みんなで勝っていけたら。一緒に頑張りたい」と笑顔をみせた。悲願の聖地切符をつかむため、皆が力を合わせる。大船渡は佐々木だけじゃない。(井上幸治)