七回に二塁打を放ったマルテ。初の4番で実戦11打席ぶりの快音を響かせた(撮影・松永渉平)【拡大】
(オープン戦、阪神3-3日本ハム=九回規定により引き分け、9日、甲子園)打った、走った、守った!! 阪神のジェフリー・マルテ内野手(27)が9日、日本ハム戦(甲子園)に初めて「4番・三塁」で先発出場した。七回にオープン戦初安打となる左翼線二塁打を放つと、鳥谷敬内野手(37)の中前打で二塁から激走のホームイン。チームは3-3の引き分けでオープン戦初白星はお預けとなったが、新助っ人が初の聖地で躍動した。
初の聖地でトンネルを抜け出したマルテは、誰にも止められなかった。七回、左翼線二塁打をかっ飛ばすと、鳥谷の中前打で猛然と二塁から本塁突入。己の判断と走力を信じ、藤本三塁ベースコーチの制止も振り切って生還。オープン戦初安打後に即、鮮烈な初得点だ。
「自分のタイミングで行きましたけど。コーチはリスペクトすべき人ですし。あの場面はセーフにはなりましたけど、やっぱり自分も直していかないといけない部分もあります」
大きな体を小さくし、少しバツが悪そうに振り返る。たしかに「ストップ」の指示には従わなかった。だが、吹っ切れたからこそ振り切ったに違いなかった。
2-2で迎えた七回の先頭だ。昨季19セーブ、19ホールドポイントとブレークした日本ハムの快速右腕、石川直の外角フォークを捉えた。「いい投手、いい球だったと思うけど、いい感じでコンタクトできた」。2月11日の紅白戦(宜野座)で来日初アーチを含むマルチ安打をマークして以来、実に26日ぶりの快音だった。
結果が出ず、周囲がやきもきするなかでの実戦11打席ぶり安打。「自分の中の安心材料というか。やっぱりヒットが出ないと、どうしても焦ると思うんで。そういう風なものが、ちょっと消えるような一本にもなったと思う」。矢野監督も安堵の表情を浮かべた。