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【平成の真実(3)】『10・8』巨人・長嶋監督1人だけが試合を楽しんでいた

【平成の真実(3)】

『10・8』巨人・長嶋監督1人だけが試合を楽しんでいた

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平成の真実
ナゴヤ球場は3万5000人のファンで超満員となった

ナゴヤ球場は3万5000人のファンで超満員となった【拡大】

 夜が明け、試合当日は朝から曇っていた。宿舎出発前のミーティングは1、2分で終わった。小俣は「監督は最初、普通に『おれたちが絶対に勝つ』と。選手の反応がなかったので、次は大声で『勝ーつ!』。すると『オーッ』と声が上がってね。“つきもの”が落ちたような感じでした」と振り返ったが、心中は空模様と同じだった。

 「ネガティブになるなといいますが、頭に浮かぶのは悪いことばかり。監督以外、みんなそうだったと思いますよ」

 1994年は巨人にとって、特別な年だった。親会社の創刊120周年と球団創立60周年で、オフは記念行事が予定されていた。前半戦を2位に8・5ゲーム差をつけて折り返したが、8月下旬から急降下。優勝を逃せば進退問題に発展する。球場に到着すると、担当記者の様子もおかしかった。誰も声を掛けることができず、監督自ら「お客さん(の入り具合)はどう?」と口を開いた。練習中は満員の観客席を見つめて、「おお、盛り上がっているなー」と満面の笑みを浮かべた。

 「両軍の選手、球団関係者、ファンに報道陣、球場にいる全員が緊張している中で、監督だけは試合中も穏やかな表情でした。胴上げの格好でも考えていたんじゃないでしょうか」と小俣。巨人は6-3で勝ち、ミスターは第1次政権時代の77年以来、17年ぶりに宙を舞った。「監督が胴上げされるのを見て、われに返りました。その後は記者会見の準備など仕事モード。あんなに静かで行儀のいい中日ファンは初めて見ました」。

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  • 『10・8』を制してリーグ優勝を飾り、笑顔で宙を舞う長嶋監督。「竜の上にまたがって天に昇るような感じでした」と語った
  • 優勝を決めてファンにあいさつする巨人ナインには安堵(あんど)の表情が浮かんだ
  • 関係者に配られた大入り袋。中央は長嶋氏が後年、左手で書いたサイン
  • 『10・8』を振り返る小俣進氏(撮影・松尾雅博)
  • 1994年のセ・リーグ勝敗表
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