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【平成の真実(3)】『10・8』巨人・長嶋監督1人だけが試合を楽しんでいた

【平成の真実(3)】

『10・8』巨人・長嶋監督1人だけが試合を楽しんでいた

特集:
平成の真実
『10・8』を制してリーグ優勝を飾り、笑顔で宙を舞う長嶋監督。「竜の上にまたがって天に昇るような感じでした」と語った

『10・8』を制してリーグ優勝を飾り、笑顔で宙を舞う長嶋監督。「竜の上にまたがって天に昇るような感じでした」と語った【拡大】

 平成6(1994)年10月8日に行われたプロ野球、中日-巨人最終戦(ナゴヤ)。巨人・長嶋茂雄監督(現終身名誉監督)は、ともに1試合を残して同率で首位に並び、勝った方がリーグ優勝という史上初の一戦を「国民的行事」と呼んだ。当時、巨人の広報としてミスターを間近でサポートしていたのが小俣進氏(67)。球場全体が緊張感に包まれる中、「監督は1人だけ試合を楽しんでいた」と証言した。 (取材構成・松尾雅博)

 巨人ナインは決戦の前日(10月7日)、新幹線で名古屋へ移動した。現在、社会人セガサミーの野球部アドバイザーを務める小俣は車内の様子を「選手は明らかに口数が少なかった。雑誌や新聞を手にしていても、本当に読んでいるのかどうか…」と振り返る。

 ところが、長嶋監督は違った。新横浜駅のホームで報道陣に「明日の試合は国民的行事です。ご堪能ください」と人ごとのように言い放った。小俣は「監督は後年、『あんな過酷な試合はなかった』と振り返っていますが、本当は楽しんでいたはずです」という。身近にいて、そうとしか思えなかったのだ。

 ナゴヤ球場でのナイター練習を終えると、宿舎でミーティングが行われた。中日は、ここまで巨人から5勝を挙げている今中慎二の先発が有力だった。「人はこんなに緊張するのかと思うほど異常な雰囲気でした」と証言するのは、捕手としてベンチ入りした大久保博元(51)=サンケイスポーツ専属評論家。日付が変わっても寝付けず、廊下に出て他の選手の様子をうかがった。主砲・落合博満の部屋からは明かりがもれ、ドアに耳をつけると素振りの音が聞こえた。

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  • ナゴヤ球場は3万5000人のファンで超満員となった
  • 優勝を決めてファンにあいさつする巨人ナインには安堵(あんど)の表情が浮かんだ
  • 関係者に配られた大入り袋。中央は長嶋氏が後年、左手で書いたサイン
  • 『10・8』を振り返る小俣進氏(撮影・松尾雅博)
  • 1994年のセ・リーグ勝敗表
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