2018.5.25 08:00

【小早川毅彦のベースボールカルテ】「代打の切り札」不在に嘆く現場…ならば作ればいい

【小早川毅彦のベースボールカルテ】

「代打の切り札」不在に嘆く現場…ならば作ればいい

特集:
小早川毅彦のベースボールカルテ
阪神・桧山進次郎外野手(2013年10月撮影)

阪神・桧山進次郎外野手(2013年10月撮影)【拡大】

 最近、見なくなったものがある。「代打の切り札」だ。現場で監督やコーチから「ほしいけど、本当にいないんですよ」という声を聞く。

 古くは阪急で代打本塁打27本の“世界記録”を作った高井保弘さん。阪神では川藤幸三さん、八木裕、桧山進次郎が「代打の神様」と呼ばれてきた。記録や称号はなくても山本功児さん(巨人、ロッテ)、淡口憲治さん(巨人、近鉄)、川又米利さん(中日)、秦真司(ヤクルト、日本ハム、ロッテ)ら、次々と名前が出てくる。

 私も現役最後の数年、代打を経験した。ゲームの流れや相手投手など、観察することがたくさんある。求められることも場面によって、一発逆転の本塁打だったり、適時打だったり、送りバントだったりと違う。打席での基本は、ファーストストライクから打ちにいく積極性。野球を学ぶにはいい機会だった。

 アクシデントがない限り、代打が出されるのは普通は試合の中盤以降。予告先発がない時代は先発が右か左か読めず、先発オーダーに“あて馬”を使うことがあった。一回表のチャンスで“当て馬”に打席が回ると、いきなり代打の出番で、開始前から準備をしておく必要があった。

 昔は代打以外に、青木実さん(ヤクルト)、鈴木尚広(巨人)ら代走の専門家もいた。今井譲二さん(広島)は大事な場面に出てきて、必ず盗塁を成功させていた。通算盗塁数(62)が通算打席数(31)を上回る、珍しい選手だ。

 今はそこそこ打てて、そこそこ走れて、そこそこ守れる選手ばかり。だからレギュラーをなかなか固定できず、どこを切っても同じ顔が出てくる“金太郎あめ”のようなチームになっている。右投手に左打ちの代打を送っても、投手が左に代わると、代打の代打。こうなると、駆け引きがなくなって面白みに欠ける。

 投手は先発、中継ぎ、抑えと分業が確立されている。野手にも「代打の切り札」というスペシャリストがいてもいいのではと思う。いないと嘆くなら、作ればいい。 (サンケイスポーツ専属評論家)

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