12回、鳥谷敬がサヨナラ打をはなった=阪神甲子園球場(撮影・林俊志)【拡大】
5日からの首位広島との3連戦(マツダ)で3連敗し、ゲーム差は9・5に広がっていた。カープに優勝マジックが点灯して、絶望的なムードが漂った。だが、3位DeNAとの直接対決で2連勝。青息吐息の虎をよみがえらせたのは、やはり鳥谷だった。偉業達成で虎を再び奮い立たせ、この日は指先から滑り落ちそうな勝利を、執念でつかみとった。
祝祭から一夜明け、福留が中心となってひそかにサプライズが進行していた。この日の試合前、ナイン、コーチ陣、裏方らが秘密で制作した2000安打記念Tシャツを着用。グラウンドで主役の到着を待っていた。
少し遅れてやってきた鳥谷は目をパチクリさせて「俺だけもらってないんだけど…」。ようやく同じシャツを着せてもらい、外野で仲間たちと記念撮影した。「知らなかったよ。ありがたいね。きのう十分(祝福を)味わったところで、これだったから」。感謝の思いは、勝利に直結する一打で表現した。
金本監督は「半分、引き分け覚悟のところをよくやってくれました。(サヨナラ打は)一番、しびれる場面ですからね。あの場面で打つことに価値があると思うんで」と背番号1に最敬礼だ。