【特別手記】
二回、右中間を破るタイムリー二塁打で2000安打に到達した鳥谷【拡大】
打者でもその世代に法大・後藤(武敏、現DeNA)がいて、当時最年少の2年生で三冠王を獲った。後に当時の学生コーチに聞いた話ですが、鳥谷はそのとき「俺が次に三冠王になる」と言っていたそうです。プロには、そういう面々に勝って、そのくらいの結果を残さないと行けないと、1年のうちに知ることができたのでしょう。
実際に2年春に三冠王を獲るんですが、そこから獲り続けたベストナインを、2年秋だけ逃したんです。彼は今まで部屋にあったテレビとかを全部、押し入れにしまったらしい。学生コーチが「どうした?」と聞いたら「これから(もっと)練習しないと。そういう生活じゃないと、とてもついて行けない」と。練習しないと不安で仕方がないという経験から、人の3倍くらい練習する彼のスタイルが出来上がった。練習好きという選手は数多く見てきましたが、彼ほどはいませんでした。
阪神にいくと決めた際には「阪神を、大阪をナメたらあかんぞ」と話しました。やればそれだけの声援を受けるし、ダメならいろんな雑音も入る。プロでの“位置づけ”は、チャンスメーカーでもなければクリーンアップでもない。そのへんが非常に謙虚というか。もう少し自分をアピールする方がいいのにと思うんですが、できないんですよ、あの子は。