【球界ここだけの話(934)】
9日のオリックス戦で中日・松井雅(右)はマレーロ(奥)の本塁踏み忘れに気づく【拡大】
だが、松井雅に言わせると「明らかに踏んでいないのだから。あれを見落とすようではダメでしょ」と意外なほどクールだった。
「みなさんが思っているほど、すごいことをしたと思っていない。当たり前のプレー。少年野球で、捕手をやっている子供でもホームランを打った打者がホームベースを踏んでいるか、きっちりと見ていますよ」
上武大から2010年にドラフト7位で中日に入団。規定打席に到達したことはなく、これまでの1軍最多出場は14年の67試合。杉山、木下拓らと正捕手争いをしている男が、さらに頼もしく見えたのは、このあとプロ野球選手を目指す子供たちへのメッセージを求めたときの返答だ。
「捕手は“女房役”というでしょ。たとえばホームベースが汚れているときは、手で拭いてきれいにする。ベースの角が汚れていると、投手もストライクゾーンが見えにくくて投げづらい。プロ野球では球審の方が拭いてくれるけど、だから自分の手でも拭くようにしている。目配りと気配りですよ」
記者は、うなずくだけだった。(三木建次)