2016.7.24 05:00

帝京三・エース水上が亡き祖父にささげる力投/山梨

帝京三・エース水上が亡き祖父にささげる力投/山梨

 高校野球山梨大会の準決勝が23日、甲府市の山日YBS球場で行われ、初の甲子園出場を目指した帝京三は東海大甲府に0-4で敗れた。エース右腕の水上由伸投手(3年)は、21日に祖父の俊信さん(74)を亡くした悲しみを乗り越え、自己最速に並ぶ144キロの直球を披露。3回0/3を6安打2失点で、高校球児としての最後の夏を終えた。

 天国の祖父・俊信さんにささげる力投だった。先発で登板し、一度はマウンドを降りたものの、九回に志願の再登板を果たした。自慢の直球は自己最速に並ぶ144キロを計測。4番から始まった攻撃を3者凡退に仕留めた。

 「すべて出し切りました。天国のおじいちゃんが力を貸してくれたのかな。少しはいい姿を見せられたと思います」

 特別な一戦だった。2日前の21日、祖父・俊信さんが急逝した。13日に行われた2回戦の日大明誠戦には長野・伊那市から応援に駆けつけ、スタンドで観戦。水上はここぞとばかりに2本の本塁打を放った。「おじいちゃんは地元に帰ってから僕の活躍を自慢話にしていたと聞いたのですが…」。俊信さんはこの試合で熱中症にかかり、症状が悪化して帰らぬ人となった。

 今も教えを胸に刻む。地元の長野・宮田町にある軟式野球チームの審判会長を務めるなど、野球が大好きだった俊信さんの手ほどきを受け、水上は小学校3年から白球を追った。「トスを上げたりしてくれました」。二人三脚で練習に励んだ。この日は「俊信」とつばに書き記した試合帽をかぶり、“二人”でプレーした。

 アクシデントにも負けなかった。先発で登板した水上は三回、痛烈なライナーを右腸骨に受けマウンド上に倒れ込んだ。自力で起き上がれず、担架で医務室に運ばれ応急処置が施された。交代を促す輿石監督に「出させてください」と直訴。痛みを押して左翼で出場を続け、九回の志願の再登板につなげた。

 「負けて悔しいけど、本当にすべて出し切った。大学で活躍して(俊信さんに)恩返しがしたいです」

 涙はない。よどみない真っすぐな視線が、高校球児としての完全燃焼を悠然と物語っていた。

水上由伸(みずかみ・よしのぶ)

1998(平成10)年7月13日生まれ、18歳。長野県出身。小3から野球を始め、宮田中時代は軟式野球部に所属。帝京三では1年秋からベンチ入り。2年秋からエース。1メートル75、73キロ。右投げ右打ち。家族は両親と弟。

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