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【私の失敗(2)】長嶋一茂、伝説の名言には立ち会わず…引退を歯医者で知る

【私の失敗(2)】

長嶋一茂、伝説の名言には立ち会わず…引退を歯医者で知る

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1976年にリトルリーグでプレーする10歳の一茂少年。一挙手一投足が注目された

1976年にリトルリーグでプレーする10歳の一茂少年。一挙手一投足が注目された【拡大】

 オヤジの引退セレモニーが後楽園球場で行われた1974年10月14日、俺は歯の治療を受けていた。歯科助手の女性が突然、泣き出してね。「どうしたの?」って聞いたら、こう言われてビックリしたのを覚えている。

 「あなたのお父さんが引退するから悲しいのよ」

 〈父親の茂雄氏は、中日の優勝で巨人の10連覇が消滅した当日に現役引退を表明。引退セレモニーで「我が巨人軍は永久に不滅です」という名言を残した。スーパースターの引退は社会現象にもなった〉

 実は、このシーズン中にオヤジから「始球式をやってみないか」って尋ねられていた。自宅での何気ない会話で、引退試合とは言わない。こっちも、そんな大ごとだとは想像もしていない。まだ8歳だったからね。始球式でストライクが入らなかったら恥ずかしい、と拒否した。子供心なんて、そんなものでしょ。

 後楽園球場が好きじゃないっていうのもあった。場外馬券場があり、今とは違って強面のオジさんがたくさんいた。子供には怖くて、近づきにくい場所だった。

 だからオヤジの引退セレモニーには立ち会っていない。そもそも引退するといわずに球場へ行ってしまったから、テレビも見ていなかった。振り返ってみると、あれは失敗だったね。

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