若者で賑わう渋谷の街。金本監督は商業施設「渋谷モディ」(右)内の「HMV&BOOKS」でトークショーを行った【拡大】
燕よ、アニキの力強い声を聞け! “敵地”で宣戦布告だ。ファン80人が集まったトークショー。質問コーナーで来季のライバルを問われると、金本監督が真っ先に名前を挙げたのは宿敵ではなかった。
「やっぱり、優勝チーム。ヤクルトですね」
会場は、大勢の若者が行き交う渋谷のど真ん中にある「HMV&BOOKS TOKYO」。ヤクルトの本拠地・神宮とは目と鼻の先だが遠慮することはない。「基本的に全部ライバルだから」と言いながらも、「チャンピオンチームだから、そこを目標にしないと」と、強い闘争心をあらわにした。
戦いはすでに始まっていた。ヤクルトとの競合の末、高山俊外野手(22)=明大=をくじで引き当てた今年のドラフト会議。真中監督の勘違いで“逆転当選”するまでには伏線があった。当初、阪神の本命は高橋純平投手(県岐阜商高)とみられていたが、東京六大学リーグで48年ぶりに最多記録を塗り替える131安打をマークした高山を1位指名。実は、その逸材の一本釣りを画策するヤクルトを意識したものだった。
「(直前のスカウト会議で)『優勝チームをやっつけようぜ』となって高山を指名した。他の選手と迷ったけど、ヤクルトだから」