関本は2人の息子から花束を受け取り、親子そろって涙、涙…【拡大】
無数の紙テープと自身の応援歌、虎党の涙にも包まれ、ゆっくりと場内に手を振った。どれだけ愛されてきたのか、はっきりと証明された一日。虎一筋19年の関本は得意のフレーズを使って、甲子園に別れを告げた。
「小学1年生から始めた野球一筋の31年。この聖地甲子園で、これだけ多くのファンの前で引退できることが幸せです。これからの第二の人生、支えていただいた気持ちを胸に、必死のパッチで励んで参ります」
最後の出番は八回二死一塁。いつも以上の関本コールに迎えられた。「ありがとう」。そうつぶやいて向かった通算3481打席目は投ゴロ。脱帽して声援に応えると、サプライズで三塁の守備へ向かった。
「(歓声が)きょうは聞こえた。最後の最後で聞こえた」
普段は集中して歓声が耳に届かない。この日は特別だった。「(頭の中が)ぶっ飛んでた」。打撃フォームの注意点や狙い球も考えられなかった。試合前は「普通なんよな。ぐっすり寝た」と笑顔。試合中の準備も自然体だったが、19年分の思いが詰まった打席で、ついに自分を見失った。
この日は家族と親族、知人を十数人も招待した。妻・恵さん(35)は振り返る。「子どもが、プロ野球選手だと分かる年になるまで続けることをずっと目標にしていました」。物心つくと、自然とバットとボールで遊んだ13歳と10歳の2人は、もう立派な野球少年。親子の会話は野球ばかりだ。