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【鬼筆・植村代表補佐兼特別記者「徹也の部屋」】(下)江夏氏、1973年虎V逸舞台裏を衝撃告白

【鬼筆・植村代表補佐兼特別記者「徹也の部屋」】

(下)江夏氏、1973年虎V逸舞台裏を衝撃告白

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鬼筆「徹也の部屋」
江夏氏(左)は大先輩の村山(右)と練習する。巨人に立ち向かう姿勢は、大恩人の影響が大きかった

江夏氏(左)は大先輩の村山(右)と練習する。巨人に立ち向かう姿勢は、大恩人の影響が大きかった【拡大】

(3)「長田社長から『勝ってくれるな。金がかかる』」

 植村 最後は73年10月20日の中日戦。あと1勝で優勝できる試合で、誰もが中日に相性がいい上田二朗さんが先発すると思っていたら江夏さんが投げた。スタメン表が書き換えられた説があります。さらには、江夏さんが球団に「優勝すると金がかかるから勝つな」と言われたとか。

 江夏 その時から10年以上は恥ずかしくて誰にも言わなかった。時は流れて、話してもいいかな、という気持ちに変わったんだけれど。あれは阪神が残り2試合で1つ勝てばいい状況だった。名古屋移動の日に、ちょうどパ・リーグは大阪球場で南海と阪急がプレーオフ。あるスポーツ紙から観戦記の依頼があったんや。

 (続けて)

 引き受けたんだけれど、前日に球団から本社に来て欲しい、という電話があって。僕はてっきり勝った時のご褒美の話かな、と思った。入れられたのは会議室。長田球団社長、鈴木常務がいて、難しい顔をしている。話が進まない。やがて、長田社長が「あした、決戦やけど、勝ってくれるな。勝つと金がかかる」と。

 植村 マジですか?

 江夏 何を言ってるんかなと思ったよ。「これは監督も了承済みだから」とも言われた。もう、カーッだよな。テーブルをひっくり返して帰ったよ。

 植村 でも、負けろと言われても、マウンドで手を抜けないでしょう?

 江夏 だから翌日、必死で投げたよ。絶対に勝とうと思って。でも空回りというか…。相手の先発は(星野)仙ちゃん。後で聞いたら仙ちゃんは「巨人より阪神に勝ってもらいたいからど真ん中に投げた」と言っていたけれど、あれはウソ。どう見ても必死で投げていたよ。

 植村 そりゃ、そうでしょうね(笑)

 江夏 「先発・江夏」はちょっと前から聞かされていたよ。

 植村 ということは、「上田」と書かれていたのを横線で消されて「江夏」に書き直されていたのはウソですか?

 江夏 あの年、確かに俺は24勝していたけれど、中日には3勝。相性は悪かった。二朗は22勝のうち8勝が中日。そういうデータもあって、後々、先発の入れ替え云々言われたみたいやな。でも、現場としては残り2試合のうち1つ勝てばいい、となれば、早く決めたいのが心情じゃないか?

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