【球界ここだけの話(206)】
家族思いの広島・ヒース。母の健康を祈り、その病気のシンボルカラーである紫色のグラブを練習用に使っている。遠く離れた両親へ、快投を届けるべく力投を続ける【拡大】
最下位に沈む広島にとって、目下の課題が救援陣の整備だ。先発ローテーションを守ってきた大瀬良大地投手(23)が中継ぎに配置転換されるなど、ここにきて試行錯誤が続いている。
もちろん助っ人たちにとってもその例外ではない。6月4日にマイク・ザガースキー投手(32)が出場選手登録を抹消され、デュアンテ・ヒース投手(29)が1軍に昇格した。
ザガースキーは心優しい助っ人として知られているが、ヒースだって負けてはいない。同11日の西武戦(西武プリンスドーム)前には時間の許す限りサインを行い、埼玉の鯉党を喜ばせた。
中継ぎとして期待されている右腕は、家族思いでも知られている。母のワンダ・グリッグスさん(50)の文字「GRIGGS」を練習用のグラブに刺繍(ししゅう)していて、カラーはチームでは珍しい紫色。理由は母が苦しんでいるという内臓に障害が起きる「紅斑性狼瘡」のためだという。母の健康を祈り、その病気のシンボルカラーである紫色をグラブの色に選んだそうだ。
「父がインターネットで広島の試合をチェックして、母に伝えているよ」とヒース。現在は帰国しているが、4月の来日時に両親が仲良くバックネット裏から試合を観戦していた。
鯉投再編の一環でシーズン当初の守護神ではなくなったが、遠く離れた両親のためにも、快投を届けたい。(玉木充)