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【虎のソナタ】元猛牛・井本さんの「男くささ」必要や

近鉄で活躍した井本隆氏。その度胸に日本シリーズ開幕投手を託された

近鉄で活躍した井本隆氏。その度胸に日本シリーズ開幕投手を託された【拡大】

 「おい…スズ(鈴木啓示)をたのむで…」と監督西本幸雄は、そばの広報部長梶本豊治にささやくように言ったのは1979(昭和54)年10月26日、大阪球場で近鉄-広島の日本シリーズ第1戦の前日のことだった。

 この日本シリーズは最終戦最終回の「江夏の21球」が有名になったが、それまでに虚々実々の人間ドラマがあった。

 西本監督は井本隆のクソ度胸に賭けて「シリーズ開幕投手」を彼に命じた。その年、井本15勝。史上最後の300勝投手としてのレジェンド鈴木啓示は10勝だった。

 しかし、近鉄の歴史は鈴木啓示が支えてきた。誰もが悲願の日本シリーズの初戦は鈴木だと思った。だが西本は、その栄誉を土佐のいごっそう井本隆のクソ度胸に託した。

 それでも、鈴木のプライドも傷つけたくない。当時、キレ者といわれ元サンスポの記者だったのを引き抜いた梶本豊治氏に西本監督はソッと指示したのだ。

 梶本氏は前日に鈴木の記者会見を設定している。なんで俺が…と思う。そのとき、梶本氏は鈴木にこう言った。

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