去年の巨人キャンプで原辰徳監督(左)と練習を見守る。80歳を過ぎても球界への思いは熱い【拡大】
今回のレジェンドは巨人の名遊撃手だった広岡達朗氏(82)。監督としては“育てて勝つ”を実践しヤクルトを初の日本一へと導き、西武の黄金時代を築いた。ロッテでは日本球界初のゼネラルマネジャー(GM)に就任。現在も請われるままに臨時コーチを務め、大リーグにも教えを広めている。 (取材・構成=小林忍)
私の野球史を振り返る前に、80周年を迎えたプロ野球界に、どうしても言っておきたいことがある。まだやっとるのかい、というのが最初の思いだった。開幕早々にぶり返した統一球問題だ。
1954年に巨人に入団し、60年もの長きに渡ってこの世界でお世話になってきた。その間、八百長疑惑、サイン盗みと数々の不祥事を見せられてきたが、この問題ほど情けないものはない。
昨年、加藤良三前コミッショナーが一連の騒動の責任を取り辞任した。球界は二度とこういう問題を起こさない、起こさせないと反省し、再出発したのではなかったか。
統一球の製造を一手に引き受けているミズノ社の説明では、糸巻き部分の糸の乾燥度に合わせて多めにきつく巻いたためとしているが、そんなことは百も承知。問題は、このボールを使い続けていることにある。在庫の反発係数を調べ直し、現在は適正なボールを12球団に配布しているらしいが、それこそ姑息(こそく)だ。
統一球をミズノ社を含む全メーカーに一斉に作らせれば供給問題は解決する。ミズノ社との契約問題があっても、どちらが契約違反かは一目瞭然(りょうぜん)。すべてのボールを日本野球機構が買い上げ、業者任せにせずに一括管理すれば済む話だ。金はかかるだろうが、選手のため、ファンのために、まずやるべきではないのか。