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【ありがとう八十年(6)】王貞治、「球道一心」から「努力」へ

特集:
レジェンドが語るプロ野球史
現役時代のサインに書き添えられる文字は「球道一心」から「努力」へと変わり、現在は「気力」だ

現役時代のサインに書き添えられる文字は「球道一心」から「努力」へと変わり、現在は「気力」だ【拡大】

 色紙を頼まれると、今は『氣力』と書きます。選手の頃は、最初は『球道一心』。そのうち『努力』に変わりました。

 全て、その時々の自分の心境、自分への思い、覚悟を書いています。書く人は誰でもそうだと思いますよ。相手の気持ちをおもんばかり、激励のつもりで書いているという人はいないでしょう。

 『球道一心』は自分で言うのも変ですが、いかにも若者らしく、野球という道を究めるんだ、という覚悟というか気負いが感じられ、すがすがしいですよね。一本足で打ち始めた1962年は、まだ『球道一心』と書いていました。

 『努力』に変わったのは、55本のシーズン最多本塁打を打った64年頃からだと思います。“荒川道場”でバットを振れば振るほど結果が付いてくる。成果が出れば、誰でももっと打ちたい、もっといい成績を残したいという欲が出てくるんですよ。荒川さん(打撃コーチ)が「きょうはもうこの辺で」と言うようになっても、「もう少しお願いします」とバットを振り続けました。

 以前にも言いましたが、ホームランを打つために「一本足打法」を取り入れたわけではないんです。食い込まれて振り遅れる、詰まる、という弱点解消のため、始動を早くして一本足でボールを待つ。こうすることで打球を遠くに飛ばせるボールとの距離、タイミングを捕まえられるようになったのです。コツをつかんだんですね。その結果、予想外に本塁打が出るようになりました。

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