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『エモやんの あの人に会いたい』完全版 第5回は金田正一氏

球界の大先輩を前に恐縮のエモト。金田さんの一言、一言には重みがありました(撮影・小倉元司)

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■歴史を知れ

 江本 「大先輩のお話を後世に残さなければと思って、対談をお願いしたんです」

 金田 「あまり無理するなよ、エモト」

 江本 「いえいえ、本当にそう思っています」

 金田 「うむ。まず大事なことは、昔がなければ、今はないということ。大東亜戦争、戦後のあの、すさまじい食糧難…。プロ野球の遠征も、死ぬ思いで行ったもんよ。20何時間かけて。4球団が夜行列車で団体旅行。こういう座席だよ(背もたれと座椅子が直角)」

 江本 「そうだったらしいですね」

 金田 「今の選手は優遇されてはいるけど、そういうものを作ってきた人たちに、歴史に、感謝の気持ちがない!」

 江本 「はい」

 金田 「この前、映画俳優がテレビ番組で、ワシの400勝は、人の勝ち星を盗んだからだという。そういうバカな芸能人がいる」

 江本 「いかんですねえ」

 金田 「どれくらい勝つことが大変で、どれくらい維持することが大変か。あの苦しい時代を生き残ってきたんだ、ワシらは。そういう話に聞く耳を持つようになれば、野球界も変わってくる。歴史を顧みないといかんねえ」

■体が資本

 江本 「それをわからせるため、食生活の話からお願いします」

 金田 「野球は走るトレーニングをする。走り込んでも負担にならない食べ物を、まず勉強しなきゃならんのだ。朝はカレーライスなんて宣伝して、そんなバカなこと言ってるヤツいるけど」

 江本 「だははは、いましたね」

 金田 「子どもに朝はカレーじゃないですよ。ワシらは、メニューを緻密に高度に、やってきた。朝起きる時間、練習する時間、内容、すべてをコンピューター以上に、細かくやってきたんだよ」

 江本 「僕らも子どものとき、先輩の、あのキャンプのシーンをよく見たんです。ちゃんと食え、という話が印象的だったんですよ」

 金田 「タダメシは食うけど、カネ出して食うヤツがいねえんだよ」

 江本 「あははは、確かにねえ」

 金田 「食わされて食う物と、自分で食う物は違うんだ。それだけの資本投資を、体にしなきゃ。グラム1000円のものを食べるのは、ぜいたくじゃない」

 江本 「そういう発想が今、ないんです。当時の鍋とか食材、どういう発想だったんですか」

 金田 「ふっふっふ。教育よ。ワシの親は、冷めた料理は絶対に食わせなかったんだよ。熱のある料理しか出さない。ワシは(ロッテで)監督してても、選手には絶対、冷めたもの、食わさんかったからね」

 江本 「そうですか」

 金田 「ワシは昭和26年から、今でいうミネラルウオーターを取り入れておったから。これも母親の教育。昔の親は旅行するとき、水に気をつけろよと言うんです。ミネラルウオーター、布団、鍋、釜、全部、自分でやってきたのよ。給料は全部、食べ物に投入してきたのよ。だから400勝したんだよ」

 江本 「やっぱり、食ですよねえ。肉を食うなとか、アレを食っちゃいかんというのは、ないですよね」

 金田 「格闘技でも、ライオンでも何でも、肉食動物は強いぞ」

 江本 「今の選手も肉、少ないらしいです」

 金田 「まずい肉だから、食わないんだよ。歯が折れるくらい、噛んで食べないといかんから。口に入って、とろけていくような肉だったら、誰だって食べますよ」

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