2013.1.15 05:02(3/4ページ)

桑田ら救った!ジョーブ医師のゴッドハンド

特集:
サンスポ50周年企画 National Pastime ~遥かなる野球大国を訪ねて~ 

 ジョーブ医師の成功の陰には、絶え間ない準備があった。68年にド軍のチームドクターになってから、クリニックでの診察後に連日ドジャースタジアムへ行き、七回まで観戦してから帰宅するのが日課になった。「選手の動きを見ておくと参考になることが多い」。週4日は手術で、それ以外の日は解剖などの研究に費やした。

 執刀数は、最も多い年で年間750人。一般の患者を含めれば、これまで1万5000-1万6000人を手術してきた。肘の靱帯(じんたい)再建手術だけでもアマを含めて1000人以上に達するという。肘だけでなく肩などにもメスを入れ、投手だけでなく野手もカムバックさせてきた。

 これだけの実績を誇るジョーブ医師だが、再建手術の通称は、自らの名ではなく最初の患者である「トミー・ジョン」とした。「(ジョンは)勇気ある決断を下したし、覚えやすいじゃないか」。オフィスの壁を埋め尽くしている大リーグや日本の選手のパネルを眺めながら、少しだけ誇らしげに語った。

 「復帰した選手の手術前と変わらないプレーを見たり、感謝されるのが医師として最高の喜びだ」

 靱帯(じんたい)再建手術は現在、成功率が93%まで上昇。大リーグでは投手の9人に1人が肩か肘にメスの跡があるといわれている。ジョーブ医師の考案した「トミー・ジョン手術」がなければ、多くの選手生命が断たれ、大リーグの歴史も大きく変わっていただろう。

 実は、ジョーブ医師を医師として初めて野球殿堂入りさせる動きもある。米国だけでなく、日本の野球界にも多大な影響を与えた功績がたたえられる日は近い。

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