福留コーチ兼任案が急浮上! 阪神電鉄本社と球団内に指導者としての資質を高評価する声

「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記
打線をけん引する福留

 福留コーチ兼任案が急浮上しています。金本阪神は115試合消化時点で54勝60敗1分の借金6で3位・巨人とは1ゲーム差の4位。4日~6日の広島3連戦(マツダ)では同球場のカード2年ぶりの勝ち越しを決めました。チームを牽引しているのは41歳の福留孝介外野手。主軸打者としての活躍に加え、投打の若手にアドバイスを行うなど主将としての役割を果たしています。球団内にはチームの将来構想の一環として福留に指導者の肩書を与えよう、という意見が急浮上しているのです。

 残り30試合を切りましたね。いよいよ阪神は、2018年ペナントレースで最終の4コーナーをまわりました。最後の直線で3位以内のAクラス入りを決め、CS圏に残れるのか。広島やヤクルト、巨人の後塵を拝し、Bクラス転落で終わるのか。もはや13年ぶりのリーグ優勝は絶望的で、焦点はAクラスかBクラスか…。そこに移っています。

では来季が再契約した3年契約の2年目で、監督として都合4年目を迎える金本監督がコーチ陣をほとんど残留させたい意向があることを書きました。しかし、Bクラス転落ならば本社―球団首脳はコーチ陣の刷新を求める考えで、指揮官を取り巻く来季の環境はAクラスとBクラスでは大きく異なるだろう…と予測しましたね。

 チーム成績がからみ、流動化するコーチ人事の行く末とは別次元で阪神電鉄本社ー球団内に急浮上している名前があります。それが福留孝介外野手(41)の名前です。

 「福留の評価は高いよなぁ。選手としての成績も素晴らしいけど、チーム内の言動で若手選手を引っ張っている。ミーティングでも監督やコーチの言うこと以上にチームに影響力を示す場面もある。将来の指導者としての可能性をすごく感じるんだ。生え抜きの監督候補は鳥谷と言われてきたけど、今や鳥谷の名前がかすむほど福留の評価は高いなぁ」

 ある阪神電鉄本社の関係者の言葉です。

 福留は今季、4月26日に41歳の誕生日を迎えました。1998年オフのドラフトで中日を逆指名して入団。9シーズンで首位打者2回、MVP1回を獲得するなど主砲として活躍しました。その後、カブス、インディアンス、ホワイトソックスなどMLBに2008年から12年まで在籍し、阪神には12年オフに移籍しました。

 移籍初年度の13年は左膝や両足のふくらはぎを痛めるなどして、出場試合数は63試合に留まり、打率1割9分8厘、本塁打6本、打点31という成績に終わりました。翌年の6月、阪神の株主総会では株主から「不良債権ばかり獲得して…」と球団は批判を浴びることになりましたが、14年の夏場から盛り返し、移籍3年目の15年には140試合出場で打率2割8分1厘、本塁打20本、打点76をマーク。金本監督就任後もずっと主砲として活躍しています。

 今季もチーム115試合消化時点で104試合に出場し、打率2割9分2厘、本塁打14本、打点65。チームでは規定打席に到達している選手の中では糸井につぐ打撃成績を残しているのです。

 選手としての成績だけではなく、チームキャプテンとしての存在感は誰もが認めるところです。若手野手に対するアドバイスや叱責だけではなく投手陣に対しても、外野の守備位置から感じた部分を率直に伝えたり、時には厳しい言葉をかけています。

 「見ていて甘いとか、自分が感じたことは言うようにしている。言っても聞かなかったり、嫌な顔をするならそれでいいと…。自分が損をするだけなので…。言ったことで嫌われてもかまわないと思って、感じたことは言うようにしている」

 福留はかつて、こんなことを話していましたが、思い出すのは2年前の16年8月31日の中日戦(ナゴヤD)です。7失点大炎上の藤浪が森野の打球に一塁ベースカバーを怠ったとして、その後のベンチ前で大説教。

 「投げること以外にやるべきことをしっかりやれ!!」

 福留は衆人環視のベンチ最前部で藤浪を叱りつけていました。こうした姿勢は阪神にはなかったものです。そして、今もチームの中堅や若手に対しての接し方は変わらないようですね。中堅や若手選手達も経験則からにじみ出た言葉をありがたく聞く風潮が生まれているようです。

 阪神電鉄本社や球団内には福留の指導者としての資質を高く評価する声が出ていて、そうした人物査定を今オフ、人事で伝えようという動きがあるのです。それがコーチ兼任案なのですね。

 「福留もそうだが、藤川球児もそうだろう。チームの中で欠かせない存在感を示している。先のことは分からないが、ウチの監督候補にもなるかもしれない。そういった意味でもチームにつなぎ止めておかないといけない。選手契約以上の契約が必要なら考えないといけないだろう」

 これが球団の内部から漏れてきた声なのです。

 福留は来年の4月26日で42歳を迎えます。今季も100試合以上に出場しています。元気ですから急な衰えはないでしょう。来季も休養日を考慮してもらいながら試合に出れば、合格点の成績を残せるはずです。一方で年齢的には次のステップに歩んでも不思議ではない時期ですね。いや、次に進んだ方が将来的に大いにプラスになるとも言えます。

 例えば金本監督は現在50歳です。監督に就任した15年オフは47歳でしたね。選手を引退後、コーチ経験のないまま、いきなり監督に就任しましたね。当時、球団首脳から漏れていた言葉は「コーチ経験がないから、指導者経験がないから、ベンチワークなどが慣れていない」というものでしたね。監督に就任する前にコーチとして選手指導にあたっていれば、過去3シーズン(今季含めて)のベンチワークや選手指導では別の引き出しがあったかもしれません。

 首脳陣の一員としてシーズンを過ごすことは、選手の立場とは視界が変わってきます。42歳を迎える来季は福留にとってもいいタイミングなのかもしれませんね。

 それにしても、少し考えさせられます。現在の監督は広島に入団して努力と研鑽で実績を積み上げてきた苦労人です。矢野燿大2軍監督も中日にドラフト2位で入団し、98年のトレードで阪神に移籍してきました。そして、福留…。阪神の生え抜きでチームの行く末を担う人材はどこにいるのでしょうか。タイガースからはいい指導者が出てこない。他のチームでも阪神OBは主要コーチを務めている人がほとんどいない…。そんな球界内の評価が聞こえてきそうです。

 かつて阪神は土台造りを提唱していました。生え抜きの選手が一流選手になり、その選手がいい教育を受け、指導者に成長してチームの土台を担う。そんな構想だったような気がします。

 本物の伝統と歴史を築くことができるのはいつの日なのか…。何が問題で、何が足りないのか。球団関係者はこの際、よ~く考えないといけませんね。(毎週日曜掲載)

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として、阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月曜日~金曜日、午後9時からの「」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド」に出演中。

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