迷走阪神は風雲急! Bクラス転落なら金本監督の希望するコーチ陣全員残留は夢の彼方に…

「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記
苦しい戦いが続く金本監督(左)と片岡ヘッド兼打撃コーチ

 Bクラス転落なら阪神・金本知憲監督(50)の希望するコーチ陣全員残留は夢の彼方に消えるでしょう。残り33試合(110試合消化)時点で50勝59敗1分の借金9、首位・広島とは16・5ゲーム差の阪神は、CS圏の3位とも2ゲーム差の4位です。2年ぶりのBクラス転落の危機が迫っていますが、このまま4位以下の成績で終われば金本監督には厳しいオフが待ち受けます。自身が監督就任時に組閣したコーチ陣の大幅刷新を本社-球団から要求されるのは必至。監督としての威信さえも失う可能性が出てきます。迷走阪神は風雲急を告げてきました。

 ちょうど今季110試合目のヤクルト戦(甲子園)は1-3の敗戦。0-1の五回裏には一死満塁のチャンスで糸原が中堅に飛球を打ち上げ、同点か…と思われた次の瞬間でした。

 ホームベースを三塁走者・鳥谷が踏む前にタッチアップしていた二塁走者の梅野が三塁でタッチアウトになる信じられないプレーが飛び出し、一瞬にして併殺プレーが完成。無得点に終わり、そのままズルズルと敗退したのです。

 「開いた口がふさがらない」とは高代三塁コーチャーの言葉ですが、それはスタンドやテレビで見ていたファンの言葉です。開いた口をふさげるように指導するのがコーチの立場、仕事ですよ。ミス→敗戦をまるで選手だけに責任を負わせるような言葉は百害あって一利なしでしょう。

 そして、金本阪神は110試合消化して50勝59敗1分。借金9で首位・広島とは絶望的な16・5ゲーム差です。CS圏の3位とは2ゲーム差で、まだまだ十分に逆転のチャンスはあります。

 ただし、今回のヤクルト戦3連敗で今季の本拠地・甲子園球場での同一カード3連敗は球団史上最多タイの5度目。5度も3連敗を喫したのは1995年以来なのですが、その時チームは最下位に終わっています。ここから逆襲できそうな雰囲気を探すのに苦労しますね。

 それでも金本監督は今こそ、今季のスローガンである「執念」を見せなければならない大事な残り33試合となります。3位以内に入り、CS圏出場を得るのか、それとも4位以下のBクラス転落か…で監督を取り巻く事情が大きく異なるからですね。

 金本監督自身は来季が新たな3年契約の2年目で続投は既定事実です。しかし、AクラスかBクラス転落か…によって来季を迎える“周辺環境”は大きく変わるでしょうね。それは監督を取り巻くコーチ陣の編成です。

 「球団から漏れてきた話だが、監督は来季も同じコーチ陣で臨みたい、という希望のようだ。まあ、CS圏に入って勝ち上がったりすれば、監督の希望も通る可能性はないことはない。でも、Bクラス転落ならそうはいかない。本社や球団は監督に刷新を迫るだろう。Bクラスに落ちて、指導体制を変えないという選択肢はないはず」とは阪神OBの言葉です。

 金本監督は3年前の2015年オフ、監督就任時に片岡篤史ヘッド兼打撃コーチ、金村暁投手コーチ、平野恵一打撃コーチ、矢野燿大2軍監督らを招聘(その時のポストは現在とは違います)しました。監督2年目を終えた昨季オフ、育成方針で意見対立した掛布2軍監督を退任させ、矢野コーチを2軍監督に配転しましたが、コーチ陣は内部異動こそあれ、全員残留でしたね。

 関係者によると、現時点でも金本監督はコーチをそのまま全員、残留させたい意向の様子で、大きな変化を望んでいないというのです。特に注目なのは打撃不振やベンチワークの点で周囲から批判の声が出ている片岡コーチについても代える考えはみせていない、というのです。

 こうした情報を裏読みする関係者もいます。

 「片岡コーチや矢野2軍監督は監督自身が強く要望して招聘した人材。その一人を斬るとなると、監督自身が周囲から“なんだ自分だけ残って…”と言われる。自分が見込んだ人材がアテ外れだったことを示すことにもなり、人を見る目を疑われる。だから外したいコーチがいても外せないのではないか」とは阪神OBの言葉です。

 色々な事情が絡むのでしょうが、チームがAクラスに入り、CSに出場したのなら、こうした金本監督の意向はスンナリと球団に受け容れられるかもしれません。

 しかし、Bクラス転落となれば事情は一気に変わります。すでに阪神電鉄本社の首脳は球界関係者や阪神OBの複数人と接触し、場合によっては会食の場を設けていますね。

 今の金本阪神がどうして成績不振なのか、どうして念願の若手育成が遅々として進まないのか…を客観的に調査しているのです。その調査結果はどこで具体的な現象として出てくるのか。

 「阪神OB以外の人とも会って話を聞いているそうだ。金本監督の采配や選手起用、今のコーチ陣の指導能力などを情実のからまない人達からリサーチしているのだろう。当然ながら、成績不振のまま終われば、調査結果が人事に結びつくことになるよね」とは球界関係者の話です。

 金本監督の就任4年目で再契約後2年目の来季は待ったなしの勝負の年です。もう停滞や失敗をファンやマスコミ、阪神OBは許さないでしょうね。ならば、指導体制も監督の意向に任せず、ベストな形に刷新をー。今季がBクラス転落なら本社ー球団は監督に強く求めるはずです。

 そうなれば、結果として金本監督の過去3年における絶対的権限は薄れてくるでしょう。威信の低下が免れません。Bクラス転落という結果責任もあります。剣が峰に立たされるのは自然の流れとなるでしょう。

 でドラフト戦略の話題に触れました。阪神電鉄本社案の藤原(大阪桐蔭)1位指名ならセットで新外国人投手2枚+FA補強(浅村か丸)を金本監督に提示しなければならない…と書きました。

 このドラフト戦略についても金本監督はあくまで即戦力投手指名(東洋大・甲斐野)に固執している、という情報があります。やはり来季戦力にならない高校生野手の指名に首を縦に振れないのでしょう。ドラフト戦術も本社-球団と監督のパワーバランスが結果に大きな影響を及ぼすはずです。場合によっては禍根を残すかもしれません。

 プロ野球は超実力主義で超結果主義です。勝てば官軍なのですが、負ければ去っていくしか道はありません。窮状を打開し、勝ち続けることでしか、金本監督には権威を取り戻す術はないはずですね。まさに執念の見せ所が残り33試合なのですね。(毎週日曜掲載)

植村 徹也(うえむら てつや)

1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として、阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の月曜日~金曜日、午後9時からの「」、土曜日午後6時半からの「ニュース・ハイブリッド」に出演中。

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