ヤクルト・石山、恩人・小田義人さんとの忘れられない思い出

球界ここだけの話(1341)
ヤクルト・石山泰稚

 母校・静岡高のユニホームを着た遺影は、優しく微笑んでいた。7月9日に巨人戦が行われた静岡での午前中、石山は小川監督とタクシーに乗って静岡市内の民家を訪れた。6月5日に肺がんのため死去したヤクルトの元スカウト部長、小田義人さん(享年71)を弔問するためだった。

 納骨前だったため自宅を訪れ、静かに手を合わせた。小川監督は「優しい口調で話される方だったよね。フロント(シニアディレクター)の時にスカウトをされていたので、その時に一緒にいることが多かった」と故人をしのんだ。

 守護神の石山にとっては、感謝してもしきれない恩人だ。ヤマハから2013年にドラフト1位で入団した際、担当スカウトだったのが小田さんだった。12年の都市対抗は1回戦で敗退。全国的な知名度は低い中、小田さんだけが素材を信じて何度も練習場に足を運んでくれたという。

 「小田さんがいなければプロに入れなかった。プロに導いてくれた人」と振り返る。忘れられない思い出がある。プロ入りが決まった直後の食事会。下戸の小田さんが、珍しくアルコールを注文した。「今日はお前のお祝いの席だから。特別だよ」。うれしそうにグラスを傾けながら「プロに入ったら、酒と女には気をつけろよ」と何度も注意してくれたという。

 霊前で手を合わせながら、石山は小田さんに約束をした。「『ありがとうございました。これから、しっかり頑張ります』と言いました」と石山。今季は守護神として救援陣を支えている。亡き恩人のためにも、腕を振り続ける。(長崎右)

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