巨人・菅野、圧倒的な投球の裏にある用具へのこだわり

球界ここだけの話(1307)
巨人・菅野智之

 球界のエースである、巨人・菅野智之投手(28)。今季はここまで12試合に登板し、7勝4敗。リーグ最多の5完投、3完封、3無四球投球、89奪三振に加え、防御率も2・08でトップだ。

 そんな菅野の圧倒的な投球の裏には、用具へのこだわりがある。まずはグラブだ。

 使うのはミズノ社製。革は薄めで柔らかく、投球のときに握りやすいものをチョイスする。「どちらかと言うと、グッと握るから、力は入りやすいんだと思う」と菅野。球がグラブの中で遊ばないように、大きさもなるべく小さめのものを使うという。自身の中で、求めるグラブの形が固まっているため、毎年モデルチェンジはしない。さらに、グラブの握り方は「フィールディングのときに、ボールが出ないように。あとは型崩れもしにくい」という理由で絶対に縦とじだ。

 もう一つこだわるのが、こちらもミズノ社製のスパイクだ。負担や疲労の軽減、衝撃緩和のために「ミッドソール」と呼ばれるクッション性の高い素材が、かかとからつま先まで入っている。「耐久性ですね。硬いマウンドが多いから。それに耐えられるだけのもの」と菅野。投球において、下半身は重要なポイント。さらに、1年間投げ続けるためには、硬いマウンドでもしっかりと対応できるだけのものが必要となってくる。

 さらに注目すべきは、刃の多さだ。一般的に、投手は足の前方部分に3本、後方部分に3本の刃を配置する人が多い。だが、菅野は「IQソール」と呼ばれるものを使う。。「土をつかみやすいというのもあると思う。マウンドが硬いから、刺さってくれないと安定性が出ない」とつま先部分に1本、その下に3本、足の中心部分に2本、かかと部分に2本と、計8本の刃が付いたものを使用している。さらに、菅野は刃の長さにもこだわる。

 「体重移動のときに引っかからないように」と、左足の中心部分にある3本の刃のうち、内側にある2本を半分ほど削っているのだ。マウンドは緩やかな傾斜になっている。投球において重要な体重移動の際に、引っかからず、しっかりとパワーを伝えられるようにしているのだ。そして、この刃が多いスパイクが、世界大会でも生きた。

 日本代表「侍ジャパン」のエースとして臨んだ、昨年3月のワールド・ベースボール。クラシック。菅野は雨中のドジャースタジアムで、準決勝の米国戦に先発。6回1失点と好投し、米国のリーランド監督から「メジャーリーガー」と評された。そんな大舞台でも、刃の多さはプラスとなった感覚はあるという。

 「(マウンドは日本よりも)もっと硬い。結構役立ったと思う。雨が降っていたけど踏ん張れた感覚はあった気がする。そこを意識したわけではないけど、結果的によかったんだと思う」

 最高のパフォーマンスを見せるため、菅野は細部にこだわる。もちろん、いい用具があれば誰でもいい投球ができるわけではない。菅野自身のたゆまぬ努力があるからこそ、ミズノ社製の最高の用具とマッチし、最高の投球が実現できるのだ。「どちらかというと、自分が道具に順応するという方が正しい」と菅野。ミズノ社が丹精を込めて作ったグラブやスパイク。最高の“相棒”とともに、これからも白星を重ねていく。(赤尾裕希)

 

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