DeNAから加入の山崎選手が元気! 1軍で甲子園こそ「全治12カ月」からの真の復活

土井麻由実のSMILE TIGERS
キャンプで打ち込んだ阪神・山崎憲晴選手。新天地で完全復活を目指す

 ファームのキャンプ地、安芸でまず感じた。あぁ、やっぱ今年も背番号32は元気だわ。声も大きいし、明るいし…。え? 違うぞ! そうだ。“中の人”が変わったんだ!「新井良太選手」は「新井良太コーチ」になった。では「32」はというと、横浜DeNAから新加入した山崎憲晴選手(31)だ。内野の位置からグラウンド中に響こうかというくらい大きな声で盛り立てている。

 「32」を着ると、そうなるのではもちろんない。山崎選手はもともとそういう選手なのだ。しかしトークがおもしろかったり、ファンの人気が高かったりと、なんだか共通点も多いなぁ。

 今回は山崎選手の野球人生において、もっとも大きな、そして衝撃的なできごとを中心に紹介したい。

 2013年、14年にはそれぞれ115試合に出場して不動のレギュラーを掴んだかに思えたが、15年にはその座を奪われてしまった。巻き返しを誓って臨んだ16年の春季キャンプ、その練習中に左膝に大怪我を負った。

 「ランダウンプレーでランナーとぶつかりそうになって、人工芝に足が引っかかって…」。とっさに衝突を避けようとしたのだ。前年の反省から「打たなければ。パワーアップしなければ」とオフに体重を8キロ増量したことも災いした。

 直後はすぐに治ると思い、数日後の紅白戦も出場する気でいた。ところが、歩けないどころか自力で立てない。すぐに病院でMRIを撮ると、内側側副靱帯だけでなく前十字靱帯まで完全に断裂していた。下されたのは「全治12カ月」という気の遠くなるような診断だった。

 12カ月!? 「そのショックは言われた人間しかわからない。守ってきた立場もポジションもすべて奪われる。1年棒に振るなんて、この世界じゃ終わりってこと」。そんなに長く野球から離れるなんて初めてだし、想像もできなかった。

 「自分でも調べた。なぜ12カ月もかかるのかと」。自分で納得しないと受け入れられなかった。そこでハムストリングから自分の靱帯を移植して再建させることがわかった。「骨とくっつくのに12カ月かかる。中途半端に復帰すると再発するってことだった」。

 手術を受け、そこから始まったリハビリの日々。車椅子から松葉杖に代わり、1カ月以上経ってやっと左足を地に着けることができた。「野球ができて終わりたい」。懸命なリハビリでシーズン終了間際のイースタン・リーグで復活した。なんと5カ月も早い7カ月で戻ったのだ。さらにフェニックス・リーグにも参加してシーズンを終えられた。

 「12カ月かかると思って割り切ってやったのが、かえってよかった」と振り返るが、リハビリ途中の判断も難しかったようだ。「前十字靱帯は開けてみないと骨とくっついてるかどうかわからない。動き、安定性は自分にしかニュアンスはわからない。最初はスパイク履くのも怖かった」。早まっても再発の恐れがある。しかし無駄に先延ばしはしたくない。相当な葛藤だし、恐怖心との戦いでもある。

 しかし、山崎選手には大きな支えがあった。「家族がいたから。励ましてくれたり話し相手になって気を紛らわせてくれたり」。奥さんと現在7歳の男の子、同2歳の女の子の存在は、山崎選手の不可能を可能にしてくれる力を持つ。

 加えてファンにも感謝する。「ただ外野を裸足で歩いてるだけの僕しかいないのに、グラウンドに来てくれた。ユニフォームも着てないのに」。復活を信じて通ってくれるファンのためにも、絶対にユニフォームで公式戦に出場する姿を見せなきゃいけない。固く心に誓った。

 だが、現実は厳しい。離脱している間にチームの編成は変わっていた。なかなか割って入ることができないまま昨年、戦力外を告げられた。

 現役続行には何の迷いもなかった。家族も当然のことだと背中を押してくれた。トライアウトを受験し、阪神から声がかかり、現在に至る。山崎選手はすべてをプラスにとらえている。「環境が変わっていろんな人と出会って、いろんな人に僕の野球を見て知ってもらえる」と前向きだ。

 常にポジティブ。そして好奇心旺盛だ。実はリハビリ中、空いた時間に英会話の勉強をしていたという。「もう忘れたけど(笑)」とはいうが、トライしようという現役選手も珍しい。二遊間を組んでいたグリエル選手とはよくプエルトリコ料理のお店に通ったそうで、通訳から簡単なスペイン語を教わったりしていたという。グリエル選手とも未だにLINEをする仲だ。

 「最後のユニフォーム」と阪神に骨を埋める覚悟でいる。「なんでもしてくれると重宝がられたい。阪神でやってくれてよかったと思われたい」。そして「1軍の甲子園で出てこそ本当の復活」と、その復活した姿を多くの人に届けることを誓っている。(毎週土曜掲載)

土井 麻由実(どい・まゆみ)

CS放送「GAORA」「SKY-A」の阪神タイガース野球中継番組「Tigers-ai」でベンチリポーターとして携わったゲームは約900試合。2005年は優勝のビールかけインタビューも! イベントやパーティでのプロ野球選手やOBとのトークショーの司会は100本以上、またイベント制作も手がけています。過去には阪神タイガース公式ホームページや携帯サイト、阪神電鉄の機関紙のコラムやニュースも執筆し、現在はYahoo!でも野球記事を掲載。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報をお伝えしています!! ツイッターのアカウントは。Yahoo!のページのアドレスは

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