竹中は短時間で撮影を終え、サンケイスポーツカメラマンを「格好良いっすね」とうならせた=東京・港区
「民王」の稽古場会見に出席した左から一路真輝、竹中、別所、有澤、角野隼斗=東京都内
日本テレビ系「俺たちの箱根駅伝」で辛島アナウンサーを演じる竹中直人
ポーズをとる竹中直人 =東京・港区(撮影・福島範和)
ポーズをとる竹中直人 =東京・港区(撮影・福島範和)
ポーズをとる竹中直人 =東京・港区(撮影・福島範和)
ポーズをとる竹中直人 =東京・港区(撮影・福島範和)
ポーズをとる竹中直人 =東京・港区(撮影・福島範和)
ポーズをとる竹中直人 =東京・港区(撮影・福島範和)
ポーズをとる竹中直人 =東京・港区(撮影・福島範和) ギャラリーページで見る俳優、竹中直人(70)が今年の秋から冬にかけて人気作家、池井戸潤氏(63)の作品に染まる。ミュージカル「民王」(9月6日~10月6日、東京・有楽町のシアタークリエなど)で大物議員、10月期日本テレビ系ドラマ「俺たちの箱根駅伝」(放送時間未定)では古参のアナウンサー役に挑戦。数多の役を演じてきたカメレオン俳優が大事にするのは「直感力」だ。その感性を育んでくれたのは最愛の両親だった。(ペン・栗原智恵子、カメラ・福島範和)
どこからともなく響く口笛。「民王」の歌稽古を終え、取材時間ぴったりに現れた竹中は「いやぁ難しいですよ、歌。疲れちゃった。インディーズですけどアルバム9枚出してんのに」と笑った。
同作は、ひょんなことから内閣総理大臣(別所哲也)と、一人息子の大学生(有澤樟太郎)の心と体が入れ替わる痛快政治コメディー。民政党のキングメーカー、城山に扮する竹中はソロなど数曲を歌唱。「微妙な音程でキーも高い。じいさんにこんな早いテンポの歌を歌わせるのかって、いやんなっちゃうね」とボヤキが止まらない。
竹中といえばNHK大河ドラマ「秀吉」をはじめ、数多の役で見る人を物語に引き込んできた。「役をやるのは無意識じゃないと駄目。作っていくもんじゃない。人生に台本はないじゃないですか。どういう空気でいるかっていうのは、直感力しかないんですよね」。直感力の礎の一つが両親の存在だ。
横浜大空襲で九死に一生を得た父、博美さん(享年95)と祖父を横浜港ドイツ軍艦爆発事件で亡くした母、芳枝さん(同54)の長男で一人っ子。「両親は共稼ぎでしたから、すごく寂しがり屋で。いつもバス停まで迎えに行って、バスに乗っている母を見つけるとうれしくて」と懐かしんだ。
「職場へ着物で行く母の香りが好きでした」と話す自慢の母は、左利きだった息子を書道に通わせて右利きに変える厳しさもあった。中学2年のとき、母にリウマチが発覚。その後、結核を発症し、3年ほど入院。医師に「もう治らない」と言われて家に戻った後は、母に代わり食事を作り、当時フォークシンガーを志していたことからギターを弾き、歌い、母の気持ちを和らげた。
「僕のロングヘアを見て母は『なんで?』って真剣に悲しんでいました。ある時、『直人、直人』って何度も呼ぶんで行ったら『お父さんと2人だけになっても、ちゃんと生きていける?』って。『なに死ぬようなこと言ってんだよ』って怒ったことがありました」と当時を思い出し涙。高校の卒業式を控えた日に帰らぬ人となった。
一方、「ピース(銘柄)のたばこの匂い」が印象的だった父、博美さんについては「照れくさくて、ほとんど話したことがない。怒られた記憶がないですね」と述懐。年を重ね一人暮らしをする父に何度となく同居を促したが、「ここにいたい」の一点張りだった。
だが、94歳の夏、父は人生で初めて入院。「僕は舞台稽古中だったので毎日、会いに行きました。15分の面会時間で手、足、肩、腰をもんで『自分もこうなるんだな』って父親の体を触りながら初めて思いました」と、その姿に自らを重ねた。