人気アイドルグループ、FRUITS ZIPPERの鎮西寿々歌(27)が24日公開の「だぁれかさんとアソぼ?」で映画に単独初主演した。「呪怨」シリーズを手掛けたホラー界の巨匠、清水崇監督(53)に見いだされ、女優業に開眼。これまでの明るいイメージを封印し、怪異に巻き込まれる難役を熱演した。「アイドル活動を始めてからは女優を避けてきた」という鎮西を突き動かしたものは何だったのか聞いた。(ペン・山下伸基、カメラ・加藤圭祐)
2023年に日本レコード大賞最優秀新人賞に輝いて以降、日本武道館公演、NHK紅白歌合戦出場、東京ドーム公演と、怒濤(どとう)の快進撃を続けるFRUITS ZIPPER。鎮西はメンバーと一緒に国民的アイドルグループの階段をひた走ってきたが、同時に女優業を封印していた。
NHK Eテレ「天才てれびくんMAX」で子役として活躍し、10代からドラマや舞台に出演。「演技は苦手意識があって、心の底から楽しんでお芝居をしたことがなかった」と告白した。
「周りに上手な方がたくさんいたし、自分の演技は評価されていないんじゃないか、芝居には向いてないと思うようになり、苦しくてトラウマだった。これまで事務所にお芝居の仕事はやりませんと断っていました」
22年に結成したFRUITS ZIPPERでアイドル活動を始め、グループのブレークと時を同じくして23年の主演ドラマ「Link!」を最後に女優から遠のいた。
歌手デビューからの4年間は「常にFRUITS ZIPPERが一番でした。私は同時にいろんなことをやるのが下手なタイプだから」とアイドル活動に全力投球してきた。ただ、グループが大きく成長するにつれて「もっとFRUITS ZIPPERの可能性を広げるために自分ができる役割は何だろう」と考えるようになった。
「去年の暮れぐらいから『芝居やらないの?』と聞かれることが多くなって、(占い師の)ゲッターズ飯田さんには『女優業が一番縁があると思う』と言われたんです。アイドルや(『ViVi』の専属)モデルの活動を経験させていただき、人間関係を学んだ。事務所の社長からも『演技をやった方がいい』と後押しされ、今の自分ならできるんじゃないかと決断しました」
2月に東京ドーム公演を成功させた後、1カ月半の撮影に突入。「ホラーは苦手だったんですが、清水監督の作品を見て怖さの裏に面白さもあることを知りました」。
久しぶりに体験した芝居の現場は新鮮だった。「台本と違う自分の言葉でせりふが出たとき、監督が『今の言葉の方が言いやすい? こっちにする?』とその場で変えたんです。巨匠なのに柔軟性があって、すごくやりやすかった」。
ホラーだけに表情の演技が多く、泣きのシーンは初挑戦。何度もテイクを重ね苦戦したが、「監督が求めるものを諦めずにトライできたことがうれしかった。現場がピリッとすることもあったけど、その後はカラッとしている。活気があって、清水組は最高の環境でした。覚悟して臨み大変でしたけど、達成感があった」と充実の表情。
年の離れた学生役の共演者たちとも意気投合した。「楽屋でみんなに気を使わせたくなかったので最初は一歩引いて見ていたんですけど、楽しそうだからいつの間にか輪に入って『人狼ゲーム』をやったり、同世代の感覚になっちゃって。皆さんのおかげで自然と座長にさせていただいた」と感謝。特に妹役の星乃あんな(16)は本当の妹のように仲良くなった。
メンバーの反応を聞くと、「全員ホラーが苦手なんですが、『必ず見に行く』と約束させました(笑)。(仲川)瑠夏はグロテスクなのは好きなのにホラーはダメ。清水監督作品でみんなにホラーを好きになってもらいたい」と力を込める。
鎮西が女優にまい進できるのも、他のメンバーの存在が刺激になっているからこそ。「(櫻井)優衣ちゃんがソロデビューし、まなふぃ(真中まな)はMCと、みんなそれぞれの道でも頑張っている。私の目標は連ドラで主演を張れるような女優になること。FRUITS ZIPPERが評価されているように、私も演技で評価されるように頑張ります」と誓いを新たにした。
鎮西をはじめ各メンバーがさらに光り輝くことで、FRUITS ZIPPERがさらなる高みへ駆け上がる。
■映画「だぁれかさんとアソぼ?」
若者の間でひそかにはやる〝絶対にやってはいけない遊び〟があった。学校の誰もいない階段の13段目で、カセットテープに日付と名前を吹き込まれた人は死ぬというもの。軽い気持ちで実行した学生たちの周りで次々と事件が発生。事態を重く見た学校に招聘(しょうへい)された心理カウンセラー・小春(鎮西)が学生たちにカウンセリングを行うが、〝遊び〟を実行した一人は小春の妹・菜々美(星乃)だった。
★新曲が同映画コラボ曲に
FRUITS ZIPPERの新曲「センセーション」が同映画のコラボ曲に起用された。鎮西は「決まったとき、みんな喜んでくれました。『グループの楽曲でメンバーが主演したいね』と言っていたので」と笑顔。ミュージックビデオ(MV)では「私が劇中で〝KAWAII〟を封印したように全員一切笑ってない。これまでは顔の筋肉が痛くなるくらい笑っていたので、グループにとっても新境地になりました」と胸を張った。同曲が収録されたシングルCDは発売日の今月15日だけで50万枚を突破した。
■鎮西寿々歌(ちんぜい・すずか)1998(平成10)年11月24日生まれ、27歳。兵庫県出身。2009年にNHK Eテレ「天才てれびくんMAX」に、てれび戦士として出演して本格芸能界デビュー。18年に同「ニャンちゅう!宇宙!放送チュー!」の12代おねえさんに就任し、23年卒業。22年にFRUITS ZIPPERのメンバーで歌手デビュー。「わたしの一番かわいいところ」がヒットし、23年に日本レコード大賞最優秀新人賞受賞。24年にNHK紅白歌合戦初出場。愛称・おすず。