オランダ戦では、日本ベンチがホワイトボードに大きく数字を書いて指示を出す様子が話題を呼んだ。邨田直人記者(32)が「ホワイトボード作戦」の真相を現地取材した。
◇
大きなホワイトボードに書かれた数字に、森保ジャパンの強さの理由が垣間見えた。オランダ戦では日本ベンチからピッチに見える形で「2」や「45」などと数字が何度も掲げられ、森保監督が声を張り上げていた。普段はあまり見ることのない光景について、MF鈴木が経緯を明かした。
「選手たちは上のスクリーンが見えなくて『いま何分だよ』と。それでボードに書いて(伝えて)やろうとなった」
試合会場のダラス競技場は天井から巨大な四面スクリーンがつり下げられ、そこに試合時間が表示されていた。客席からは視認しやすい位置だが、後半途中に出場したFW塩貝は「確認しようと思ったら何も見えなかった」と証言。前半からMF堂安やMF鎌田が何度か天井を見上げていたのは、時間を確認するためでもあったという。
「(試合前に)事前に分からなかった。試合中に選手たちからの声も聞こえてきたので」とDF長友。ピッチ上の選手が訴えてきた情報を素早くスタッフに伝達。機転を利かし、前半途中からホワイトボードで経過時間が逐一ピッチに伝えられた。攻めるべきか守るべきか、残り時間を見ながらのプレー判断は勝敗に直結する。
5月15日のW杯メンバー発表。今大会に向けた四字熟語を問われた森保監督は「凡事徹底」を掲げ、「今できることをしっかりやって最善の準備をしたい」と語った。メキシコでの事前合宿ではピッチ状態が悪く、練習場所を転々とした。それでも「想定外のことが起きたとき、どう落ち着いて対応できるか」と動じなかった。
決勝点を呼び込んだFW小川は「やれることは尽くしたんじゃないか。あれ以外に方法もない」。勝利のため、ささいなことも手を抜かない。確かなチーム力がそこにあった。