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【鬼筆のトラ漫遊記】交流戦惨敗の阪神…デカ過ぎる1番打者の不在、連覇戦略は近本光司待ちか

4月26日の広島戦の八回、死球を受けた阪神・近本光司

やはり近本光司外野手(31)不在は痛いです。阪神の交流戦成績は5勝11敗。西武、楽天との2試合を残し、ここまでの16試合は41得点で1試合平均2.56点。交流戦前の平均4.1点から落ち込みました。痛いのは近本を欠いていること。4月26日の広島戦(甲子園)の死球で左手首を骨折。まだリハビリ途中で戦列復帰は球宴明けの7月31日からのヤクルト3戦(神宮)あたり!? チームリーダー不在の38試合は18勝20敗です。代役の出現を望みたいですが、虎党の本音は「近本よ、一刻も早く帰って来て~」。復帰まで我慢の時間です。

セ・リーグはパ・リーグの下部リーグなのでしょうか。サッカーのW杯北中米3カ国大会が日本時間12日に開幕しましたが、日本のプロ野球の交流戦を見ていると、日本サッカーのJ1とJ2のような〝戦力格差〟を感じます。いやそれ以上かも…。とにかくパ・リーグが強い。崩壊状態の楽天だけが4勝13敗で12球団最下位ですが、あとはパ高セ低の図式クッキリです。

交流戦上位は1位から西武、ソフトバンク、日本ハム、ロッテ…。10勝6敗2分けの巨人がなんとか4位タイに食い込みましたが、残りの5球団は全部負け越し。極端な勢力分布図に藤川球児監督(45)率いる阪神もどっぷりと飲み込まれてしまいました。交流戦は5勝11敗。ロッテと楽天以外の4カードは負け越し。日本ハム戦(甲子園)とソフトバンク戦(みずほペイペイ)では、いいところなく3連敗を喫してしました。

「パ・リーグの投手陣は力強い真っすぐでストライクゾーンで勝負してくる。セ・リーグの投手は変化球をコーナーに散らして打ち損じを狙ってくるが、パ・リーグの投手は真っ向勝負。なので阪神打線は四球をなかなか取れず、打線のつながりも欠いた」とは阪神OBの分析です。交流戦2試合を残していますが、16試合で挙げた得点は41点。試合数の差があるので12球団ワーストという表現は使えないものの、17試合で42得点の楽天といい勝負。18試合を消化したソフトバンクが81点で12球団トップですから、阪神との得点能力の差に呆然です。ソフトバンクは倍近い点を取っているのですから、打線の違いは歴然ですね。

確かにパ・リーグの投手陣は力強い球でストライクゾーンで勝負してきました。セ・リーグの投手陣との力量差を感じました。しかし、相手チームとの投打のパワーバランス以上に非常に痛いと感じたのは近本の不在です。チームリーダーの1番がいないことで、やはり打線が線になりにくくなったことは否めません。

近本は4月26日の広島戦の八回に高太一投手(24)から左手首に死球を受けて骨折。翌27日に登録を抹消されました。5月1日から尼崎市の2軍施設でリハビリやトレーニングを開始しましたが、まだその時点では左手首にギプスをしていました。2023年8月13日のヤクルト戦(京セラ)で左手首に死球を受けて骨折した梅野隆太郎捕手(34)がリハビリを経て、実戦に完全に復帰したのは約3カ月後。手首付近の死球骨折はリハビリが長期化する傾向にあり、近本の場合も戦線復帰までに約3カ月は要すると見てもいいでしょう。


そうなると、近本が戻ってくるのは7月下旬か8月上旬あたり…ということになります。目安はオールスター明けの7月31日からヤクルト3連戦でしょうか。あくまでも予想ですが、阪神は近本抜きで、まだ35試合程度は戦わなくてはなりません。ちょうどその頃はシーズンでは100試合前後に近づいています。近本の戦線離脱後、阪神は38戦18勝20敗。勝率5割を切っていますが、あと1カ月は苦しい戦いが続くことを覚悟しなくてはいけません。

球界関係者の中には楽観視する人もいます。19日からのセ・リーグの戦い(阪神はDeNA3連戦=横浜)に戻れば、相手が一気に弱体化するからです。交流戦前、阪神が負け越していたのはDeNA(3勝5敗)だけです。後の4球団には全て勝ち越していました。さらにリーグ4位のDeNAから5位・広島、6位・中日の3球団は交流戦でも負けまくり、いずれも借金が2桁に到達しています。優勝争いどころか、クライマックスシリーズ圏内も遠い状況で、優勝を目指す巨人、ヤクルトとはチーム全体のモチベーションが違うでしょう。

しかし、近本が不在の阪神がセ・リーグ相手に変わった瞬間、貯金を量産できるチームに再び変貌を遂げるのか。ある阪神OBはこんなことを話しました。

「近本が戦列を離れてから、藤川監督は1番打者に高寺を起用したり、立石を使ったり、中野を1番に上げてみたりしたが、どれもこれもハマらなかった。弱いセ・リーグ相手といっても、急に打線の得点能力が一気に上がるとは思えない。さらに、現状のリリーフ陣の不安定さを考えると、あまり明るい見通しを立てにくい」

ならば、指揮官が描く連覇への戦略はどうなるでしょう。近本が戻ってくるまでは、なんとか現有戦力で戦い、巨人、ヤクルトとの三つ巴を継続していく。そして、近本が戦列に復帰した後にライバルを突き放し、Vゴールを駆け抜ける…。サッカーにおける「ジョーカー」のように途中で出てきて大暴れする選手が出現すれば大いに助かります。しかし、ここまでの38試合では近本の仕事をまかなえて、チームに流れを持ってこれるほどの1番打者は見当たりませんでした。そうであるならば、〝近本待ち〟のV戦略が現実的でしょう。

幸い、巨人やヤクルトに独走するほどの力を感じません。近本が帰ってくるまで我慢すれば、阪神には残り40試合前後で抜け出す力があります。交流戦に入って以降、負けが込んでしまい、もがき苦しむ虎ですが、今がシーズンでは底の状態と捉えて踏ん張る時です。とにかく、近本よ早く帰ってこい…ですね。

■植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て客員特別記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、野村克也、星野仙一の両氏の阪神監督招聘を連続スクープ。

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