(SMBC日本シリーズ2025、ソフトバンク1-2阪神、第1戦、阪神1勝、25日、みずほペイペイ)阪神ファンに漢字テストをしたとする。「もうこ」を漢字にしろ、と問いかけたら解答は100%「猛虎」に決まっている(と思う)。バカみたいな問題を出すな!と叱られるだろう。
ところが、福岡県民に同じ問題を出したら、答案は微妙らしい。
友人の友人に「もうこ」を漢字にしろ!と命じたら「蒙古」と答えるヤツがいる。しかも、熱狂的野球ファンのこの男、自慢げに言うのだ。
「福岡で『もうこ』は『蒙古』に決まってる。祖先が、元寇(蒙古襲来)に耐え抜いて、これを打ち負かした。われらの誇り。福岡は『もうこ』には強い。負けたことがない。マスコミがいくら『もうこ襲来』と叫んでも、全く怖くない。阪神が日本シリーズでホークスに勝てないのは、鎌倉時代から決まっていること。福岡に勝ちたかったら、『もうこ』をやめればいい」
2度にわたって蒙古の襲来をはね返した九州の方々の奮闘には感謝するし、ありがたい話。が、歴史上の出来事まで持ち出して、必死になるってことは、それだけ「猛虎」を恐れている証拠だとは思っていた。
ついに、このへ理屈を粉砕する日がやってきた。祝! 日本シリーズ福岡初勝利!
まあ、ことしの阪神は、1勝で喜ぶレベルではない。「4つ勝つ」のが目標であって、それが福岡であろうが、甲子園であろうが、どこでもいい。戦前の予想や噂は、最近の阪神には関係ない。
2年前のシリーズ初戦だってそうだ。オリックスの絶対的エース・山本由伸(現ドジャース)を相手に、世間は「阪神は何点取れるか?」と危機感MAXだったが、始まってみれば、阪神打線が7点を奪い、六回途中でKOしてしまった。あの1勝が38年ぶりの日本一に直結したことを、みんなが覚えている。
日本シリーズに嫌な記憶がある男がいた。当番デスクの川端亮平だ。2005年のロッテvs阪神。千葉のスタジアムでの初戦は、濃霧により試合続行が不可能になり、まさかのコールド負け。
「当時のデスクから『なぜ、千葉で霧が発生するのかを調べろ』と言われて、気象台に必死で電話取材しました」
日本シリーズで霧の取材した記者は、川端ぐらいだろう。しかも霧で始まったこのシリーズは、阪神まさかの4連敗…。
「あのトラウマがあるんです。きょうは、ドームでは霧が発生することはないから、安心してはいますが、やっぱり勝てていない球場は気になります」
不安いっぱいだったデスクだが、トラ番キャップ・須藤佳裕も実は不安を抱いていた。
「みなさん、中日の本拠地・バンテリンドームが鬼門と言いますが、ボクはこのドームが一番の鬼門だと思っています。ことしは福岡に来る予定はなかったのに…」
来てしまった。須藤はまだ新聞記者になる前の14年の日本シリーズで、中村晃のサヨナラ3ランも、西岡剛が守備妨害でホークスの優勝が決まった瞬間も、現地で目撃したという。
デスクやトラ番キャップの弱腰をはるかに上回るパワーを持つのが藤川阪神。シリーズが終わったら、福岡で漢字テストをやり直しましょうか? 「もうこ」は「猛虎」が正解です!