4月に入社し、5月は野球、6月は芸能をそれぞれ1カ月ずつ担当。現場に赴き、原稿を書き上げる。新聞記者としての基本を体にたたき込む日々を過ごしている。業界の右も左も分からぬ記者だがこの度、当該コラムの執筆という大役を仰せつかった。そこで、取材の中で印象に残ったある人の言葉を紹介しようと思う。
「応援してくださる方々のお父さま、お母さまが嵐のコンサートだったら行っていいよっていうような、なんとなくその存在が安全だし、安心だし、応援している子供がすごく楽しそうにしているものを提供できていたらいいな」
嵐の二宮和也(42)が自身の著書「独断と偏見」の発売前に行ったメディア向けの取材会で発した言葉である。自分を応援してくれるファンからの反応を気にするアイドルは数多くいるだろうが、ファンの両親からの見られ方まで気を配ることができるアイドルはこの世にどれだけいるだろうか。この発言に〝国民的〟アイドルとしての二宮の矜持(きょうじ)を垣間見た。
1999年9月15日、今でも語り草のアメリカ・ハワイ州・ホノルル沖のクルーズ客船で行われた嵐のデビュー記者会見から間もなく26年がたつ。今年で24歳になる記者は嵐のデビュー時、まだこの世に生を受けていない。それだけの長い年月に渡り、嵐の一員として二宮は芸能界の第一線を走り続けてきた。
四半世紀に渡ってファンに夢を与えてきた嵐は、2026年の春に予定しているコンサートツアーの終了をもって、グループとしての活動に終止符を打つことが発表されている。
そんなタイミングで改めて自身のアイドルとしての理想像を問われた二宮は「ちゃんと相手の欲求をかなえてあげる、かゆい所に手が届く存在でありたい。(ファンは)何を聞きたいのか。最新の曲ではないんじゃないかとか。本当は往年のヒット曲なんじゃないかというのをちゃんと分かった上で、考えてあげられる人たちがアイドルなんじゃないかなと思っています」と力説。芸能界で大きな成功を収めてなお、常に〝ファン目線〟を忘れないその姿勢に、会見場に居合わせた報道陣からは感嘆の息が漏れた。
来春、嵐がグループとしての最後の瞬間を迎えるその時、記者が芸能を担当しているか否かは現時点では定かではない。それでも、嵐と同じ時代を生きた者として、どのような立場からでもその終わりをしっかりと見届けたい。(依田雄太)