阪神の先発・伊藤将司 =ベルーナドーム(撮影・松永渉平) (日本生命セ・パ交流戦、西武3x-2阪神、2回戦、西武2勝、11日、ベルーナD)表情を変えることなく淡々と打者を打ち取る姿の裏に、並々ならぬ覚悟があった。阪神・伊藤将が西武打線を相手に八回途中4安打無失点の快投。340日ぶりの勝利とはならなかったが、らしさあふれる投球で復活を印象づけた。
「コースにもしっかり決まっていたので良かったかなと思います」
昨年8月27日のDeNA戦(横浜)以来の先発マウンドで、好スタートを切った。一回は難なく三者凡退。二回に2死から連打を浴びて一、三塁とピンチを招くも、けん制で走者を誘い出して3アウト。四回から七回は1人の走者も許さない投球をみせた。
八回に2死一、二塁で降板したが、一塁側からのあふれんばかりの拍手を浴びてマウンドを降りた。残した走者は横浜高の後輩・及川がかえさず、切り抜けてくれた。
「去年、結果を出せなかった。プロの世界で2年結果を出せないと立場はなくなる」
苦しみ、悩み、もがき続けた。4勝に終わった昨季からの巻き返しを期すシーズンだった。開幕ローテ争いに敗れ、2軍でも8試合に先発して防御率3・07と、入団から3年間で28勝を挙げた輝きは影をひそめた。それでも「どこかでチャンスが絶対あると思いながらファームで投げていた」と奮闘。やっとの思いでつかんだ今季初先発のマウンドだった。
10日には「自分にとってはやっぱりあした(11日)がスタート」と、登板にかける思いを口にしていた。2軍ではビーズリーら実績のある投手も控えている。情けない投球はできない。野球人生を懸けたマウンドで結果を残し、自身の存在を示してみせた。
送り出した藤川監督も伊藤将の投球を絶賛。次につながる投球だったかと問われると「もちろんですね。低めも素晴らしい投球でした」と次戦以降のチャンスを示唆した。
1軍での勝利は昨年7月6日のDeNA戦(甲子園)から遠ざかる。まずは復活を示す白星を-。この好投を足がかりに、再び輝きを取り戻す。(萩原翔)