阪神・近本光司外野手(30)が7日のオリックス戦(甲子園)で通算1000安打達成した。球団日本選手最速の偉業を祝して、大学時代から二人三脚で近本を支える個人トレーナーの植松弘樹さん(30)がサンケイスポーツに特別手記を寄せた。
近本さん、1000安打おめでとうございます! 一年一年の戦いの中で積み上げてきたものが、「1000」という大きな数字になるというのは僕自身にとってもうれしいです。
1000安打の中で印象深い一本はと聞かれれば、プロ1年目にDeNA・国吉投手から右中間に打ったプロ1号本塁打を思い出します。あの直前に、開幕から2番を打ったり1番を任されていた近本さんがスタメンを外され、「プロの世界って厳しいんだな」と2人で痛感した頃でした。
メンタル、技術面について2人でしっかりと話をして、その成果として出たのが、あの一本でした。そこから近本さんはレギュラーの座を確固たるものとして、ゴールデンウイークには打率3割4分、首位打者まで上がった。これで波が変わったな、と思いました。
「プロ野球選手・近本光司」の最もすごいところは、失敗することを恥ずかしいと思っていないところです。チャレンジすることが大事だということは、おそらく全員が分かっていると思うんです。ただ、それには失敗がついてきて、それをどうやって自分のものにするのか。そこまでセットで考えられる人が近本さん。
理想とするバッティングのためだったら、体の使い方を大きく変えたりすることもいとわない。思い切りがありつつ、失敗に対して次の目標を立てて、失敗を繰り返すうちにうまくなっていく。僕は今、小学生にも野球を教えているのですが、小学生と同じ感覚なんです。大人はどちらかというと結果が大事で、プロセス重視ではない。近本さんは逆で、結果が出ても出なくてもプロセスがよかったかを冷静に分析できる。子供たちもそうなんです。頑張ってきたことは結果が出ても出なくても、それがよかったなというポジティブな考えのもとで失敗を繰り返していく。そうして、7年目を迎えてもうまく気持ちを整えて野球に臨んでいるんだろうなと思っています。
今は1カードに1度、もしくは1週間に1度くらいできたらいいな、くらいの間隔でミーティングをしています。僕の気持ちとしては一年でも長く野球をやってほしい。そのために僕にできることはもちろんやっていきます。そうやって頑張っていく中で、僕らの関係性もまた少しずつ変わっていきながら、「2000」という数字が近づいてくるのであれば-。「この間、1000安打にいったけど、もう2000安打にいきますね」という話ができたらいいですね。(パーソナルトレーナー)
■植松 弘樹(うえまつ・ひろき)
1995年(平成7年)4月30日生まれ、30歳。香川・小豆島出身。小豆島(現小豆島中央)高から関学大に進学し、学生コーチとして野手に転向したばかりの近本と二人三脚で技術を磨いた。卒業後は関学大職員として勤務しながら、プロ入りした近本の個人トレーナーを務めた。2022年4月からは、「MTXアカデミー」でトレーナー業を行っている。