ある日。当時巨人ヘッドコーチだった武上四郎さんに手招きされた。甲子園の試合前の練習中のこと。ケージ裏に呼ばれると「監督が聞きたいことがあるらしいぞ」。えっ、監督って長嶋さん?!
やがて、長嶋監督が寄って来て、質問された。
「ミスタータイガースは何人いるの?」
実は武上さんがサンスポ評論家時代、食事の席で「ミスタージャイアンツは一人だが、ミスタータイガースは4人いる」という話をしたところ、興味津々。面白がった武上さんが、長嶋監督に伝えたらしい。
まさか、この世でただ一人の巨人のミスターの前で、阪神のミスターの名前を順番に〝解説〟していくことになろうとは。さらに余計なひと言を付け加えた。「新庄剛志も、やがてミスターになってほしいです」と。
「ミスタージャイアンツも、何人もいていいんでしょうね」
そう笑った長嶋さん。どう返事したのか、緊張のあまり、記憶喪失状態、覚えていない。野村監督の前で、そんなことになったことはなかったのに…。長嶋さんは、やっぱり永久にオンリーワン!