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【阪神よもやま話 元虎番の独り言】ホークス失速の背景に「S組」あり?! 阪神も過去に大失敗

自打球を当てたソフトバンク・柳田悠岐。この後、戦列を離脱した

2025年プロ野球が開幕して1カ月余。最大の〝想定外〟はソフトバンクの出遅れだろう。圧倒的な戦力を誇って、日本中の評論家の順位予想も、満票に近い形で「優勝」だった。

ちなみにサンケイスポーツ大阪に所属する評論家は6人全員がソフトバンク優勝を予想。「選手層が違いすぎる」の声が大半だった。

5月に入ってようやく、鷹に上昇ムードが高まっている。故障者が多すぎることが失速の原因だが、ホークスの春季キャンプを取材した時点での違和感は、今も記憶に鮮明だ。

「S組」

キャンプ時に、新たに導入された組み分けだった。従来の1軍に該当するA組、2軍にあたるB組の上に、「スーパー」の意味なのか、「スペシャル」の意味なのか、新たに創設されたのがS組だった。

S組に入った選手は、2月中旬にキャンプに合流してくれればOK。それまでは、どこで何をしていても問題なし、というルール。

この新ルールにのっとって、エース有原は1月下旬に「探さないでくださいね」と報道陣に宣言して筑後の2軍施設をたまに使ってのマイペース調整。近藤はタカ番記者たちも「どこでどうしていることやら」。近藤なら放っておいても…の思いは誰も一緒だった。

当初予定の練習施設が利用できなくなった山川はキャンプ地・宮崎には現れたが、A組B組の練習メニューの合間を縫って、早朝から日が暮れるまで、「ダラダラと練習してます」(本人談)。

柳田、周東らも、キャンプ地にはいるが、どんな練習をするのか、担当記者すら読めないマイペースぶり。

決して否定しているわけではない。押しも押されもせぬレギュラーたちだ。このチームのレギュラーは、そのまま侍ジャパンの主力と言っても不思議ではない。2月上旬に通常メニューに入らなくても、開幕したら大丈夫だろう、と常識的に考える。

ただ、若い選手たちが「エッ、○○さんがマシン打撃しているの?」「○○さんがこの後、使うみたいだよ」と戸惑っているシーンを何度か目撃した。キャンプインからチーム全体でシーズンに向けて…という機運があったかといえば、どこか欠けていたように映った。

そして、シーズンが始まると、その厚遇されたS組戦士がいきなり長期離脱したり、絶不調に陥ったり。開幕ダッシュの失敗を「故障者」と言い切るのは間違いないのかもしれないが、どこか、モヤモヤしてしまう。

長くプロ野球取材をしていると、時々、この手の「別組」調整キャンプにお目にかかる。申し訳ないが、あまり成功例に接したことがない。

歴史的な失敗例を挙げるなら、2001年の阪神だ。1軍の本隊は慣例で高知・安芸市。2軍は新たに開拓した高知・室戸市。そして主力投手陣のみ、温暖な沖縄・宮古島で行ったのだが…。

最初は伝統と前例にしばられた阪神らしからぬ英断に、思わず拍手を送ってしまった。

が、結果は散々。まず、室戸は2月中旬に引き揚げてしまい、鳴尾浜で2次キャンプ。こちらは初日気温2度の極寒キャンプ(何がしたかったのか)。

そして宮古島組。こういう場合、マスコミは結果のみで判断する。「プロセス重視」の当時監督野村克也には非常に申し訳ないが、宮古島組のシーズン成績は散々だった。あえて個人名は出さないが、ローテーションを守ってきた一流投手たちがシーズン1勝、0勝…。叱られるのを承知で「これを失敗と言わずして…」だ。

キャンプのソフトバンクのメニュー表「S組」を見た瞬間の違和感は、2001年の阪神を頭の片隅で思い出したからかもしれない。

阪神は暗黒時代の最晩年。残念ながら優勝を争う力は備わっていなかった。でも、ソフトバンクは前述したように「代表クラス」が名を連ねる。この先、どこまで巻き返すか。ウサギとカメに例えれば、ウサギの猛追が十分に予想できる。

それでも、S組はどう考えても賛同できない。ちなみに、阪神は1、2軍ともに温暖な沖縄でキャンプ。もはや分離する発想はないだろう。

キャンプ地が寒い宮崎ゆえにソフトバンクが思い立った「S組」かもしれないが、来年は辞めたほうが…。

■上田 雅昭(うえだ・まさあき) 1962(昭和37)年8月24日生まれ、京都市生まれ。86年入社。近鉄、オリックス、阪神を担当。30年近くプロ野球を見てきたが、担当球団が一度も優勝していないのが自慢(?)

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