仮契約交渉後、笑顔で写真におさまる阪神ドラフト1位のNTT西日本・伊原陵人。開幕1軍入りを誓った=NTT西日本ビル(撮影・斉藤友也) 阪神からドラフト1位指名を受けた伊原陵人投手(24)=NTT西日本=が14日、大阪市内の同社本社で入団交渉に臨み、契約金1億円プラス出来高払い3000万円、年俸1600万円(金額は推定)で仮契約した。目を引くのは尻周りなど、社会人での2年間で鍛え上げた小さな体を支える下半身。強い体で1年間を戦い抜き、日本シリーズには「必ずいけるように努力していきたい」と決意した。
大志を抱き、プロ野球の世界に飛び込む。D1位・伊原が仮契約を済ませ、晴れて正式に虎入りが決まった。球界の未来を担う男の〝尻上がり〟のサクセスストーリーが、いよいよ始まる。
「日が経つにつれて(阪神の一員となる)実感が湧いてきているところもありましたし、今日またこの仮契約というところで、さらに実感が強くなったかな、と思います」
伊原はたくましい下半身によって、切れのある直球と抜群の制球を誇る左腕は身長170センチと小柄ながら、最速149キロ。強気に攻める投球スタイルが持ち味だ。大商大時代には指名漏れを経験するも社会人の舞台でアピールを続け、ドラ1としての最高評価を受けた。年俸は新人の満額となる1600万円。1億円プラス出来高払い3000万円の契約金は、つらい時期も支えてくれた家族への恩返しに使う予定だ。
マウンド上で目を引くのは、ユニホームをパツパツに張らせる太い尻周り。担当する熊野スカウトも「社会人に入ってから、下半身とかも大きくなっている」とその進化に目を見張る。この2年間は、大学時代には縁がなかったというウエートトレーニングに励み「フィジカル面もより集中して鍛えられるようになった。そういう部分も体が大きくなる上で出たのかな」と伊原。身に着けた尻周りのたくましさが、プロの世界でも戦えると見込まれた球の力強さの秘密だ。
チームの大目標は2年ぶりのV奪回。新人であっても、当然その一員となることを志す。その先にはポストシーズンも待っている。その舞台に立ちたい思いも「持たないといけないこと。クライマックスシリーズだったり、日本シリーズというところにいけるのも限られた選手。そこは必ずいけるように努力していきたい」と強く胸に据えている。自慢の尻を携えてドラ1の名にたがわぬ結果を残した1年後には、〝シリ〟ーズ男として笑顔を弾けさせている姿も想像に難くない。
2018年5月、智弁学園高時代の伊原陵人。好投手ではあったが、まだ体の線が細かった「開幕1軍というところが一番大事になると思う。あとはしっかりと1年間、シーズンを走り抜けられるように、というのは一番の目標にしたい」
叱咤(しった)も愛として受け止める覚悟はできている。応援と期待を背にプロの世界でも高みを目指し、スター街道は〝ヒップ〟、ステップ、ジャンプで駆け上がる。(須藤佳裕)
◆伊原の父・伸さん 「特にプロ野球でも(阪神は)すごい応援団で私自身も緊張すると思う。高校野球とはまた違うと思うので(甲子園での登板が)見てみたい」
■伊原 陵人(いはら・たかと) 2000(平成12)年8月7日生まれ、24歳。奈良・橿原市出身。小1で軟式野球を始める。智弁学園高3年時にエースとして春の選抜大会出場。大商大では2年秋に関西六大学リーグの最優秀投手、3年春にベストナイン。NTT西日本では2年連続で都市対抗に出場し、今夏は8強入りに貢献。今秋のドラフト会議で阪神から1位指名された。家族は両親と4歳上の兄。血液型はB型。170センチ、77キロ。左投げ左打ち。
★お尻が大きかった伝説の投手あらかると
★野茂英雄 1990年ドラフト1位で近鉄に入団し、新人年から4年連続最多勝。腰をひねる独特の投球フォーム「トルネード投法」を武器に95年に米大リーグ、ドジャースへ移籍。得意のフォークを武器に「トルネード旋風」を巻き起こした。2008年に現役引退。日米通算201勝(NPB78勝、MLB123勝)。
★井川慶 1998年ドラフト2位で阪神に入団。直球とスライダーを駆使した投球で、2002年には206三振を奪い、最多奪三振のタイトルを獲得。18年ぶりにリーグ制覇した03年には20勝を挙げ、投手部門のタイトルを独占。沢村賞にも輝いた。5年連続2桁勝利を記録した06年、ポスティングシステムで米大リーグ・ヤンキースに移籍したが、MLBでは通算2勝しか挙げられず。日米通算95勝。