報徳学園(兵庫)、早実(西東京)など強豪校を次々に破って107年ぶりにベスト8に進出し、旋風を起こしている大社(島根)。19日の準々決勝では神村学園(鹿児島)との激突に注目が集まる。
3回戦まで3戦連続完投のエース・馬庭(まにわ)優太投手(3年)の感情を剝きだしにする気迫のこもった投げっぷりが観客を引きつけている。17日の3回戦、早実戦では1-1の七回の守りで藤原佑外野手(3年)が中前打を後逸して打者走者が一気に生還。一時勝ち越しを許す場面があった。
その直後、ショックがありありの中堅の藤原に向けて、馬庭が「『安心してほしい』という思いで」と、マウンドから大きく両腕を大きく広げて振り「大丈夫だ」と合図を送ると、気合を一層入れて打者を攻め、後続を断った姿は迫力があった。
九回に同点に追いついた際や、タイブレークに入った十回、十一回は無得点にしのぐと表情を崩して泣いていた。感情表現豊かな〝劇場型〟タイプの投手だ。
そんな馬庭を、チームのメンバーで幼なじみの仲間がベンチでサポートしている。背番号13の手銭陽太(てぜん・ひなた)捕手(3年)は出雲市立高松小の同級生で、軟式野球チーム「高松野球スポーツ少年団」で6年間、馬庭と一緒に育ち、バッテリーを組んでいた互いをよく知る間柄だ。
「馬庭はちっちゃい頃からああいう感じで、野球を楽しんでいます。子供の頃は気持ちの熱さで投げる感じでしたけど、高校になってからも変わらず熱いんですけど、時には冷静な心も持って、大人の投球ができるようになっていると思います」
幼少時に出雲市内の別々の保育園に通所しながら両園合同の運動会で知り合い、小学校進学後はクラスメートに。野球は馬庭が手銭を誘って一緒に1年生からはじめた。5年生時に島根県大会で準優勝し、中国地区大会では優勝の成績を収めた。
仲が良いコンビだったが、中学は馬庭が私学の出雲北陵中、手銭は出雲市立浜山中に進学し、離れ離れに。手銭は「馬庭ともう一度バッテリーを組むのは難しいかな」と思っていたが、高校進学を前に馬庭が手銭に「一緒の高校に行きたい」と大社野球部でまた一緒に野球をやることを誘われた。
「馬庭は打たれたらすぐシュンとして落ち込むんです。そこで自分が『切り替え、切り替え!』とかポジティブな声をかけています。あいつの気持ちをコントロールするのは自分の役目だと思っています」
馬庭は早実戦後にチームメートたちへの感謝を口にしていた。3回戦までの投球数は計401球。疲労の蓄積は当然あるが「地元の方々も燃えてくれますし、自分がここからどういう投球するか、応援団の方々の期待もあると思う。『自分が投げる』という気持ちでいく」。手銭ら多くの仲間にも支えられ、さらに熱い夏にする。(上阪正人)