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【元虎番キャップ・稲見誠の話】阪神・佐藤輝明は本当に変身したのか 14日からの鷹虎3番勝負が〝1次試験〟?

7日の西武戦の二回、ヘッドスライディングで生還した阪神・佐藤輝明

いじらしいほどの全力プレーだった。24日ぶりの1軍は満員の甲子園。カクテル光線を浴びた阪神・佐藤輝明は打って、守って、ヘッスラ生還。笑顔も弾けた。23日間で、人間は変わるのか。楽天戦での今季初のカード3連敗を受けて昇格し、連敗脱出を演出した。最多貯金「7」を使い果たし、「開幕戦」と位置付けた岡田彰布監督にとって、本当にベストのタイミングだったのか。振り上げた拳を、ここで下ろすとは…。心中は察するにあまりある。

1軍復帰試合は7日の西武戦。大山悠輔が不在で近本光司が「4番」を務める状況でも、打順は「5番」だった。二回の第1打席で中前打。その後、三進し、木浪聖也の一ゴロでの本塁生還はヘッドスライディングを見せた。守備では高いバウンドに合わせて、華麗に送球。「起爆剤になってくれ」。虎将の指示通りの活躍に「やっぱり甲子園の歓声はすごいので、それを力に変えてプレーできました」と安堵の表情を浮かべた。

一方で翌日は高橋光成の真っすぐに反応できなかった。六回の守備では左打者の滝沢夏央のホームベースに当たり高く跳ねたゴロを素手で捕球した。送球しても間に合わない。だからキャッチしたがボールは動いている。本来なら打者走者に視線を送りつつ、捕球せずに、ボールが止まるまで待つ。ファウルになる可能性だってある。通常モードの佐藤輝だった。スイープした西武3連戦は初戦の2本のヒットだけで、11打数2安打1四球2三振で打点ゼロ。2戦目から9打席連続無安打で終わった。

本当に変わったのか。数試合でのジャッジは時期尚早。格好の判断材料は14日からの敵地でのソフトバンク3連戦だ。交流戦8度優勝&通算239勝は12球団トップ。加えて今季は「貯金16」のリーグ独走状態で、セとの戦いに突入した。巨人3連戦では負け越したが広島、中日、DeNAと3カード連続の勝ち越し。柳田悠岐の離脱を感じさせない王者の足取りだ。

阪神の18年間(2020年の交流戦は中止)のホークス戦勝敗は27勝37敗4分。6球団中唯一の30勝未満だ。1カード3試合制になった2015年から8年間勝ち越しナシ。03年は福岡ドーム、14年はヤフオクドーム…2度の日本シリーズで7戦7敗。交流戦では11勝20敗3分。今季から名称が「みずほペイペイドーム」になっても、鬼門には変わりない。

阪神・岡田彰布監督の視線を受け、打撃練習を行う佐藤輝明

ローテ通りなら先発はモイネロースチュワートー和田だ。モイネロは年俸3億円(推定=以下同)。スチュワートは19年に6年契約を結び、年俸総額は7・7億円。43歳シーズンの和田は、それでも2億円。左腕→右腕→技巧派ベテラン左腕のトリオに佐藤輝が挑む。対戦時で0勝5敗だった西武・高橋の比ではない。

「それだけ集中してるということやろ、1打席目からヒット出るいうことは」

復帰戦の初打席で安打を放った佐藤輝を指揮官は、こう評価した。「これで5試合連続くらいちゃうか、1打席目ヒット、ファームから」。実際は6試合連続第1打席安打だが、2軍の打撃内容まで頭に入っているのが岡田監督らしい。11日からのオリックス3連戦(京セラ)を経て、舞台は福岡へ。9日時点の交流戦白星は鷹247勝に対し、虎199勝。チームと佐藤輝の状態を把握できる試金石。2軍生活23日。3週間余りで人間の本質は変わらないとも言える。「あの期間があったから」と後になってわかる時もある。前者か後者か。変わろうとしている思いは伝わる。試練の鷹虎3番勝負。〝1次試験〟の合否は1週間後に出る。

■稲見 誠(いなみ まこと) 1963年、大阪・東大阪市生まれ。89年に大阪サンスポに入社。大相撲などアマチュアスポーツを担当し、2001年から阪神キャップ。03年、18年ぶりのリーグ優勝を経験した。現在は大阪サンケイスポーツ企画委員。

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