トレーニングを終えた選手を取材するため、甲子園球場に隣接する球団施設駐車場に立っていると、岡田監督や近本、佐藤輝らの声がどこからか響いてきた。その正体は、まだ少し正月ムードが世間に漂う6日に行われた「甲子園詣」というイベントのビデオメッセージだった。
今年で12年目。ファンクラブ会員限定の抽選の結果、約2000人の虎党が、バックスクリーンの電光掲示板に表示される虎将やナインに向かって、思い思いの願いを込めて頭を下げていた。ビデオメッセージはイベント内で繰り返し流され、行列に並ぶファンも記念撮影を行いながら、笑顔を浮かべた。球団担当者は「優勝の効果もあり、たくさんの方にご応募いただきました。過去最高です。北海道から来ていただいた方もいました」と声を弾ませた。この日限定の5部制で行われ、ファンは一塁側のブルペン内の撮影が可能。一塁ベンチ前からバックネットへと進み、そこで〝初詣〟すると、4年ぶりに解禁となった三塁ベンチ内も見学し、退場していった。
「朝から、阪神園芸さんにラインも引いていただきました」
プレーをする選手はいないが、一、三塁のファウルラインやバッターボックスなど、白線が黒土の上で美しい直線を描いていた。〝神整備〟で知られる阪神園芸の技がないと、何だかのっぺりとした風景になっていただろう。普段とは違った甲子園球場の厳かな雰囲気を、より一層引き締めているように感じた。
相撲担当時代に見ていた、15日間の安全を祈願して初日前日に行われる土俵祭りを思い出した。私語は慎み、重々しい緊張感が漂っていた。球団担当者は「木浪選手が外野を何往復かされていて…。出くわした方はラッキーですよね」とも。同日に甲子園に隣接する室内練習場で自主トレ公開した木浪が、ファンの列から少し離れた外野フェンス前をランニングする姿もあった。
〝ナマ木浪〟を見られたファンは、さっそく岡田監督の映像を前に行った〝初詣〟の御利益があったのかも!?(新里公章)