〝令和の怪物〟は驚異的な早さでマウンドに戻ってきた。ロッテ・佐々木朗希投手(21)が10日のオリックス戦で左脇腹の肉離れから実戦復帰。2軍などでの登板を経ずぶっつけで1軍のマウンドに立った。復帰戦は3回2安打1失点で黒星を喫したが、最速161キロを計測するなど自慢の速球は健在だった。
「まずはシーズン中に帰ってこられてよかった。後半戦の大事な時期にチームの力になれなくて悔しい思いがありました。その中でどうにか最善を尽くしながらリハビリを頑張ってきました」
当初は全力投球まで2カ月かかるとされた中、48日での早期復帰。その背景には、悔しさをバネに野球に真摯(しんし)に向き合う実直な姿勢があった。佐々木朗本人は復帰に向けた工夫について「いつも通り。シーズン中に投げているときとやることは変わらない」と多くは語らないが、黒木知宏投手コーチは目を丸くして証言する。
「もう、すごいの一言です。脇腹を痛めると、どうしても2、3カ月かかる。結構重症なけがなんですけど、この期間で回復させた。彼の治癒能力、それに対する栄養摂取の仕方、休養、治療、トレーニング…。その全ての野球に対する行動が素晴らしかったからこそ早い復帰につながった」
投げられない期間が長くあり、感覚を取り戻すのに時間がかかることも不安視されたが、佐々木朗は「まめができたときとかに経験していた。慣れがあったので、どうにかうまくできたかなと思う」。右手中指のまめで離脱した際の知識もフル活用した。「相手チーム(の打者)のイメージをなくさないように」と、テレビで1軍の試合もチェック。グラウンド外でも努力を続け、驚異的な回復につなげた。
ベルーナドームでの初の登板でマウンドに足を取られる場面が多く見られたロッテ・佐々木朗希復帰2戦目となった17日の西武戦は、初登板となったベルーナドームのマウンドに苦戦した。黒木投手コーチによると、「朗希のステップ幅が長くて、粘土質の硬い土よりも向こうに足がつく形になった」という。ステップ幅が長すぎるあまりに、踏ん張りやすいとされる硬い土から、踏み出す左足が「10センチくらい」(黒木コーチ)はみ出たため、バランスを崩す場面もあった。