【No Ball、No Life】今月8日、耳を疑う訃報に接した。元日本代表FW三浦知良(56)=オリベイレンセ=の実父、納谷宣雄氏が亡くなった。享年81。顔を合わせると必ず笑顔で握手を求めてくる、あの笑顔にもう会えないかと思うと、寂しい…。
カズの担当になったのは、J2横浜FCに在籍していた2007年。ホームのニッパツ(三ッ沢)での試合には、静岡から宣雄さんが何度か観戦に駆け付けていた。最初のころは、こわもてでとっつきにくい方に見えたのだが、あいさつすると、そうでもなかった。笑顔で話し好き。「これ、持ってけ」と、おまんじゅうなどをいただいたこともあった。
15年4月19日。ホームでの長崎戦でカズがゴールを決めた。先発出場し、前半12分、右からのクロスボールを頭で合わせる先制点だった。当時のJ最年長ゴール記録。試合は2-2で引き分けたが、試合後は応援に駆け付けた宣雄さんや夫人のりさ子さん、長男の獠太さんらがカズを祝福。カズと獠太さんのツーショット写真が、サンケイスポーツ1面を飾った。
それから3年後の18年8月19日。J1リーグ、清水-浦和(午後6時キックオフ)の取材のため静岡を訪問。昼過ぎに静岡入りし、宣雄さんが経営していた「七八寿司」(現在は閉店)に足を運んだ。アポなしだったにもかかわらず「よく来たね」と笑顔。お店に隣接する自宅に招いてくれた。試合までの時間、昔話をたくさん聞かせてくれた。
「2人の息子(泰年氏と知良氏)がね、サッカーでここまで成功してね。私の誇りだよ。知良なんか、15歳でブラジルに渡るときに、本当に大丈夫かと思ったよ。それが、まだ現役。よくやっているよ」