イングランドに敗れて肩を落とす姫野和樹(中央)ら日本代表の選手たち=フランス・ニース(撮影・福島範和) ■9月19日 ラグビーのFW最前列PR(プロップ)は、ほとんどボールに触れることなくスクラムなどの力仕事に専念する。たまに巨体を利してトライするが、ハンドリングに難があるのは仕方ない。イングランドのPRマーラーはパスに手が届かず、頭に当てるとボールは日本ゴール前に転がりローズ主将が拾って難なく中央にトライした。
W杯フランス大会1次リーグ。日本が3つ目のPGで12-13と迫った直後の後半16分の、この珍プレーが試合を分けた。サッカーの母国でもあるイングランドならではの伏兵の〝ナイスヘディング〟。日本はノックオンと決めつけ全員足を止めたが、映像判定では手や腕には当たっていなかった。
「審判の笛が鳴るまでプレーは止めるな」と体に染みついているはずなのに、こんな大一番でうっかりしたのか。劣勢を予想されたスクラムで互角に渡り合い、相手キックにもしっかり対応し「ひょっとしたら大金星」の期待も膨らんだ矢先だけに悔やまれる〝セルフジャッジ〟ではあった。
この後、2トライを追加したイングランドは狙い通りトライ数4のボーナス点1を加え勝ち点5で計9とした。負けても7点差以内のボーナス点1が欲しかった日本は勝ち点5のまま。次のサモア戦(日本時間29日)はなんとか5を加え、勝ち点10で最後のアルゼンチン戦(10月8日)に臨みたい。
サモアは初戦でチリを43-10と日本のチリ戦(42-12)と同様のスコアで破った。「一人一人は強いが組織としては難がある。日本の組織ディフェンスでパニックに陥るかも」と専門家。中10日と日程にも恵まれた。十分な休養を取って1次リーグ突破に向け再スタートしてほしい。(今村忠)