■9月18日 空っぽになった大谷翔平のロッカーを見た、日米の記者たちはさぞ目が点になったろう。スパイクやグラブ、バットなどの私物がなくなっていたが、隣の同僚サンドバルのロッカーには惜別の念を込めたかのように背番号17のユニホームが置かれていたという。メディアへのロッカー開放の前に大谷は球場を後にしていた。
相撲なら横綱が突然休場し支度部屋の一番奥の定位置から明け荷が消え、そこだけポッカリ穴が開いた感じだろう。「球団への愛想尽かし」「エンゼルスのユニホームは二度と着ない意思表示」などとさまざまな憶測が飛び交う中、球団は日本時間17日、15日間の故障者リスト(IL)入りと今季の終了を発表した。
このまま大谷は姿を見せないのか。それではあまりにも寂しいではないかと、習慣づいたNHKBS1の中継(タイガース戦)を何気なく見ていたら途中で大谷がユニホーム姿でベンチに現れたのには驚いた。スタンドも騒然。解説者は「試合よりこっちの映像の方がいいですね」といったが、同感だった。
「大谷がロッカーを片づけた」とのニュースが流れた途端、全米のファンがSNSで「そのままこっちにきて」などと反応。米国以外の野球の盛んでない国でも「オオタニ移籍か」とウェブニュースで報じられたという。超スーパースターのメッシやロナウドのように、移籍話が世界を駆け巡るのは日本人では初めてだろう。
けがの状況、今後の方針など球団のミナシアンGMが説明したが、奥歯に物が挟まったような感じで釈然としない。残留交渉は続いてもFAによる移籍は噂が噂を呼ぶ。大谷の周辺だけは早々とストーブリーグに火がついたようだ。(今村忠)